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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第105話

第105話 挟み撃ち



 西側の武人、雷虎と嵐龍の二人と対峙し臨戦態勢に入った三人。

 しかし、その近くにはもう一つ、いや何万という数の『鎧武者ゾンビ』が向かっていた。

 その存在に気付いたのは、浮遊していた嵐龍だった。


 「おや?あなた方の援軍ですか?」

 「え?」


 船尾のほうを振り返った翆と藍が目にしたのは、大量の船に乗った数えきれないほどの『鎧武者ゾンビ』たちだった。

 大砲を撃ち込み、攻撃を仕掛けてくる船はどんどんと近づいてくる。

 

 「藍、後ろは任せたでありんす。」

 「わかった!」

 「援軍ではないのですか?」

 「わっちらはどちらの味方でもありんせん。」

 「ということは、どちらに対しても敵ということですね。」

 「なんでそうなるんでありんす!」

 「東から来たものは敵。ただそれだけのことです。」


 「おいおい、大人しくおしゃべりかよ。とにかく全員ぶっ殺せばいいんだろ?」

 「やれるものならやってみなさい、獣人。」

 「なんか、むかつくんだよなぁ!そのしゃべり方!」

 

 雷虎が踏み込むと甲板が爆ぜ、ものすごいスピードでリリィに迫る。

 強烈な大振りの右のこぶしをリリィは左手で掴んだ。

 

 「あぁん?華奢な手で良く掴めるな?」

 「それだけへなちょこってことですわ。」

 「うるせぇ!『雷轟(らいごう)』!!!」


 雷がバリバリと大気を裂くような音が海上に響いた。

 リリィは強烈な電撃を浴び感電した。リリィの左手の皮膚は炭化しひび割れていた。

 電流は体中を駆け巡り、髪の毛は逆立ちリリィの口からは煙が出ていた。

 

 「リリィ!」

 その姿を見ていた翠が叫んだ。

 近寄ろうとしたが、嵐龍に阻まれた。

 「うかつに雷虎に触るからああなってしまうんです。」

 

 勝ち誇った顔をしながら、腕を組みリリィの姿を見ていた雷虎がぴくッと耳を動かした。

 「あぁん?なんで死んでねぇ。」

 「さて、なんででしょうか。その小さな頭で考えてみなさい。」

 

 黒く炭化したものの中から、真新しい姿で傷一つないリリィが現れた。

 

 「と、その前にこの船を破壊されたくないのですわ。藍、お願いしてもいいかしら?」

 「でも、いいのかな。あいつらもこっち来ちゃうよ?」

 「船が壊されたら元も子もないですわ。」

 船尾で迫りくる『鎧武者ゾンビ』をライフルで倒していた藍にリリィが言った。

 

 「まぁ、いいか。『絶対零度』!」

 

 入り江の形の海上が一面、氷で埋め尽くされた。

 どこまでも氷の大地と化し、水の上にあったすべての時が止まったようだった。

 すべての船は動きを停止し、氷の上を船から降りた『鎧武者ゾンビ』が進軍してくる。

 

 「やっぱり・・・。」

 「藍、ゾンビの群れはお願いしますわ。」

 「・・・何体いると思ってんの。」

 「おぉ!すげえな!魔術は海を凍らせられるのかよ!いい足場ができたぜ。」

 「そうですわね。これで、船の上で戦う理由はありませんわね。」

 

 そういうと、リリィと雷虎は、船から飛び降り向き直った。

 翆と嵐龍も反対側の氷の上に降り立ち、向かい合った。

 ジャリジャリと音を立て迫りくる無数の『鎧武者ゾンビ』。その数は氷の海上を埋め尽くすほどだった。

 戦いやすくするために足場を作ったが、『鎧武者ゾンビ』たちも同様に進軍できるようになってしまった。

 藍は、こうなることがわかっていたが、海上を氷漬けにすること自体それほど魔力は使わないので、一番の戦闘力を誇るリリィのいう通りにした。

 一番厄介なのは、雷虎と嵐龍である。この二人を確実に無力化しなければ先には進めない。


 「じゃあ、そろそろ本気で行くぜ!雷神:雷虎。押していくぜ!」

 「名前を言う必要性を感じないのだけれど、リリィ。私はだだのリリィ。これでお別れですわ。」

 「私たちも参りましょうか。風神:嵐龍。繊細かつ華麗にそなたを倒します。」

 「風神を名乗るなんて、何かの嫌味でありんすか?わっちは翠。風の四大精霊でありんすよ。」

 

 お互いに名乗ったところで、両者にらみ合い合図を待っていた。

 それは、藍の一撃で始まることとなった。

 大量にこちらに向かってくる『鎧武者ゾンビ』に向かい藍が初弾で放った大技が凍り付いた海上に響き渡った。


 「『海氷星(ポセイドン)』」


超巨大な氷塊は、頭上から降ってきた。いわゆる『隕石(メテオ)』の氷塊バージョンである。

熾天使(セラフィム)』級が使うの魔法の『隕石(メテオ)』とは違い、威力は劣る。しかし、藍のなかでもトップクラスに超強力な範囲攻撃である。しかも、水が豊富な海上では、水の四大精霊の藍は無類の強さを誇る。

超巨大な氷塊は大気との摩擦で白い煙を吐きながら、ゆっくりと着弾する。

メキメキと氷塊が凍り付いた海上を押しつぶしながら、崩壊する。

砕かれてもタンクローリーほどの氷塊の一つ一つが辺りに転がり、『鎧武者ゾンビ』を押しつぶしていく。


着弾とともに発生した轟音をきっかけに、戦いの火ぶたが切って落とされた。



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