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【2025年7月30日完結!】天界の司書、転生したら最強でした!  作者: 愛猫私


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第100話

第100話 エヴァ1



 「さて、エヴァはどうだった。」

 「自分自身を見失うところがあるようですが、命令には絶対のようですね。失礼だとは思いますが、私に与えられていたように、ある程度の裁量を彼女に与えてみるのはどうでしょうか。」

 「まさにその通りだ。エヴァには、自発的に判断して行動してもらいたい。では、どうやったらそれができる?」

 「難しい質問ですね。与えられたことだけやることも正解ですが、自発的に道を見つけ行動するには、その者の個性に関わるところだと思います。申し訳ありませんが、今回の面会だけでは、判断出来かねます。」

 「そうか、ではまたの機会を早急に作ろう。紅とやらはどう感じた?」

 「うん?リンと同じで堅苦しいと感じたなぁ。けど、自分なりに問題意識を持って頑張っていると思うぞぉ!」

 「なかなかちゃんと見ているな。助かる。」

 「ところでだが、それ以外に何か思うことはあったか?」

 「いや、とくには・・・。」

 「気になったんだけど、魔力のない魔人っているのか?」

 

紅の一言に魔王は押し黙った。

「・・・。」

「エヴァからは魔力が感じられなかったぞぉ?弱いのかぁ?」

「確かに。気になると言えば気になりますね。さすがに魔王様の側に仕えている者ならそれ相応の戦闘力が無ければなりません。」

「まぁ、隠していてもしょうがない。エヴァは私が作った人工魔人だ。」

「!?」

「どういうことぉ?」

「エヴァの思考は、ここにいた大半の魔人の記憶から作られている。だから、現状、魔王城には最低限の魔人しかいない。そうエヴァはいっていなかったか?」

「直接的には言っていませんが、あのときの存在理由というのはそういうことだったんですね。」

「魔王がエヴァを作ったってことなのかぁ!全然わかんなかったなぁ。というより、魔力がないっていうこと以外分からなかったぞぉ。」

「そうですね。エヴァという存在を人工物と魔王様が言ってくれなければ、今でも気付くことも出来なかったでしょう。」

「そうか。リンスが心配していた戦闘力についてだが、エヴァは魔力で動いているわけではない。ゴーレムと同じような仕組みだが、その原動力は魔大陸から多く採取できる電雷鉱による電力だ。」

「・・・そうですか。私たちには想像もつかない話ですね。区別がつきませんでした。」

「実験は成功ということだ。がしかし、もっとエヴァには思考という概念を突き詰めてもらいたい。よってあと数日、リンスたちと面会することで更なる飛躍を遂げることを願っている。」

「それが魔王様の本当の依頼というわけですね。」

「・・・なんだが難しい話になっていきすぎて頭が爆発しそうだぁ。」


 頭を抱える紅。

 何を言っているのかよくわからなくなってきたので、魔王とリンスの話から離脱し茶々丸とじゃれ合い始めた。

 


―――――


 エヴァとの二回目の面会が実施された。

 

 「自分らしくというのを私なりに考えてみました。」

 「ほう。どういったものですか?」

 「私は、魔人以外の繁栄を憎んでいることに気が付きました。」

 「!?・・・それは、あなたが作られた存在だからでは?」

 「リン、それ言っていいのかぁ?」

 「エヴァ自身理解していると思います。自分が作られた存在であると。」

 「はい。それは理解しています。しかしながら、私が導き出したこの答えはあくまでも私が考えた事です。」

 「その思考をどう証明するんですか?」

 「リンス様は自分の思考から導き出した答えを自分で考えたという証拠を提示できますか?」

 「・・・。」

 「おいおい。あらぬ方向に行ってないかぁ?大丈夫かぁ?エヴァ、魔人族以外の繁栄があってもいいじゃないかぁ。」

 「なぜですか?種の保存は生物である限り、絶対のはずです。脅威となるものは排除しなければ我々魔人族が滅んでしまいます。」

 「そりゃあそうだぁ。」

 「納得しないでください。確かにその通りですが、魔人族に手を出す種族なんてそういないでしょう。」

 「その通りです。しかし、戦闘によって魔人の人口は激減しています。魔王様は、魔人自体を保存する方法を考え私を創りました。思考や思想、そういったものは環境によって変わってしまいます。しかし、私ならば不変の物となります。」

 「いやぁ。どうなのぉ?リン。」

 「申し訳ないです。分かりません。他種族を見下していたのは確かにありました。しかし、ここまで自分たちの種を残そうとは思っていませんでした。本当は思うべきだったんでしょうが。今になってはもう遅いですが。」

 「自分らしさというのは、比較対象が居て初めて確立するものです。ですので、魔人族が居なければ魔人族の個人というのは、当たり前のようにいなくなります。」

 「エヴァの言い方ですと、魔人族は全てエヴァに置き換わるということですか?」

 「そういうことになります。私は死にません。常に情報をアップグレードし、最適化した答えを出します。そうすることで、魔人族の意思は永遠に残り続け、未来永劫に保存されることになります。」

 「それって生きてんのかぁ?」

 「・・・。生きる?」

 「自分で考えて行動して間違えて、失敗して、成功して、だらだらして、休んで、回り道して、近道して怒られて、そうやって訳が分からなくなって、でもなんだかんだなんとかなって行くのが生きてるってことなんじゃないかぁ?」

 「そんな非効率なことが許されるんでしょうか?」

 「エヴァは誰に許されたいんだぁ?」

 「・・・。そ、そ、それは想像主である魔王様です。」

 「魔王は、エヴァにもっと自由になってもらいたいんじゃないかぁ?」

 

 リンは口を閉ざし、紅の言うことを目をつむりながら聞いていた。

 

 「自由・・・。」

 「生物の繁栄がどうのこうのよりも、間違えでもいいから自分自身で考えたやりたいことをやればいいんじゃないかぁ?それがエヴァのやりたいことなら誰も文句言わないと思うぞぉ!」

 「紅の言う通りですが、自由というのをはき違えないでください。あくまでもルールや常識の範囲内、制限の中での自由です。それを踏まえた上でもう一度考えてみてください。本当にあなたのやりたいことを。」

 「わかりました。また助言していただけますか?」

 「もちろんです。」

 「当たり前だろぉ!」




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