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第97話 コンフィチュールを売り込み

「おはようカナちゃん」


「おはようハナ」

「今日は紅茶?朝ごはんはパン?」

 ハナが私の足につかまって後ろ足で立ち上がりテーブルをのぞこうとするが全然届いていないのが可愛い。

「今日は特別。フルーツサンドで朝ごはんにするよ」



 全員集まったので朝ごはん。

「紅茶とカットフルーツとプレーンヨーグルトとフルーツサンド。ヨーグルトにはお好みのコンフィチュールを好きなだけどうぞ」

「甘いにおい」

 ハナが目を細めてフンフンする。


「コンフィチュールはイチゴ、アプリコット、スモモ、キウイ、柿、ブルーベリーの6種類。ハナ、ヨーグルトにどれを乗せる?」

「うー、うー、えっとね…ブルーベリー」

「はいはい」

 ハナのヨーグルトにブルーベリーのコンフィチュールをたっぷり乗せた。


「おいしー」

「甘いサンドイッチだ!美味しい!甘い!」

「アルバロは絶対に好きだと思ったよ」

「美味しいよ!」

「ダンジョンでドロップした美味しい生クリームとフルーツを挟んだだけなんだよ」

「ダンジョンのドロップ品で、こんなに美味しいのが出来るの!?」

「生クリームに砂糖を混ぜて泡立てるひと手間が必要だけどね」

「へえー!」

 アルバロがたくさんおかわりした。朝から嬉しいな。


「おいしかったー!」

「良かったね」

 ハナにも満足してもらえて朝から達成感が凄い。



 朝の支度の後、腹ごなしがてら街をぶらついてから商業ギルドに来た。


「いらっしゃいませ」

「いくつか委託販売しているので、もし必要なら納品出来るので寄ってみたんだが」

「確認いたしますので少々お待ちください」


父さんの干し肉を納品した。


「今日はダンジョンでドロップしたフルーツと砂糖でジャムを試作してきたんです。もし需要があれば委託販売をお願いしたくて」


 イチゴ、アプリコット、スモモ、キウイ、柿、ブルーベリーのコンフィチュールを並べる。鮮やかな赤や薄いオレンジ、キウイの緑など、映える順番で並べる。瓶にギンガムチェックの布を被せてリボンでとめる専門店風のラッピングだ。


「きれいですね!」

「富裕層の女性への贈り物にいいですね」

「試食をどうぞ」

インベントリからスライスしたバタールが入った籠を出す。


「ハナもたべたい」

「はいはい」

 全部の蓋を開けて少しずつバタールに乗せて順番に食べさせる。

「おいしー」

「パンに乗せて朝食に食べようね」

「うん」

 明日の朝食はパンで決まりだ。もしも納豆ごはんが出てきたら暴れるだろう。


 ハナに食べさせている間に商業ギルドの皆さんも試食を終えていた。

「どれも富裕層が欲しがるクオリティですね」

「ダンジョンのドロップ品で作ったんですよ」

「どちらのダンジョンですか?」

「すぐそこのシーフードのダンジョンです」

「……」

「え?」

「あそこ?」



「1階置きに蜂蜜や砂糖、たくさんのフルーツがドロップしたんです。ダンジョン職員の皆さんが冒険者ギルドに調査依頼を出すそうです」

「国1番の不人気ダンジョンが!」

「ルースラゴスに新しい名物が生まれるかも!」

「まさかあの不人気ダンジョンから!」


アルバロのくちがへの字口になってきた。


 少し預けていきますので検討してみてください。さらに2瓶ずつ置いて商業ギルドを後にしようとしたら別の職員の方に呼び止められた。


「カルピオパーティの皆さま、冒険者ギルドからご都合の良いタイミングで寄って欲しいとメッセージをお預かりしております」

「なんだろう?」

「昼飯の後で寄ってみるか」


 お昼は市場の隣の屋台で食べた。ハナの食べたいものを買い回ってテーブル席へ。


「これ美味しい!」

 トルコの鯖サンドにそっくりだった。バゲットに焼きたての鯖とレタス、玉ねぎを挟んだシンプルなサンドイッチが美味しい。


 お魚続きなのでソーセージの屋台でソーセージもたくさん買った。鯖サンドとソーセージを交互に食べると大変だ。美味しくて食べ過ぎてしまう。


「おいしかったー」

「美味しかったね」

ハナと微笑み合う。



 ゆるゆる歩いて冒険者ギルドに行ったらオスカル様が出迎えてくれた。


「ご活躍ですね」

「?」

「ダンジョンを制覇されたと聞きましたよ」

「私が真珠大好きなので家族を巻き込んじゃって」

「カナが欲しがるものが全部出たと聞いて安心してるんだ。真珠の色とか艶とか言われても俺には分からんからなあ」



「もう一度制覇しませんか?」

 オスカル様がなんか無茶言ってきそうな顔だった。

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