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第89話 裏山探検

 辺境に移築した我が家は家を中心に山から海までの広い範囲を人間以外は自由に出入り可能な結界で区切ってある。


 海は夏に嬉しいビーチから釣りを楽しめそうな岸辺や、ちょっとすごい崖まで揃っており、山は採取が楽しそうだ。

 ちなみにハナのお散歩ダンジョン入り口は家のすぐ側にある。


「ハナちゃんのお散歩がてら全員で山を散策してみようか」

「うん!」

父さんの提案にハナが丸い尻尾をぴこぴこさせて大喜びだ。


 さっそく全員で山に入ると薬草や木ノ実、ハーブやキノコが目に飛び込んできた。

「父さん…」

「後でゆっくりな、今日はハナちゃんのお散歩だ」

がまんがまん。採取は後で。


頂上を目指して登るが元気なハナは右へ左へ寄り道ばかりだ。


「まってー!」

距離が離れると慌てて走って来るのが可愛い。

「寄り道してると夕方までに頂上につけないぞ」

「わかったー!」

分かったと言いながら道をそれるハナ。遅れては走って追いつくので、いい運動になっているようだ。



「この辺で休憩しようよ」

中腹にある泉の近くでアルバロが提案したので敷物をしいてお茶の準備。


「今日はキャラメルりんごケーキだよ」

 キャラメルソースを絡めたりんごを入れたパウンドケーキだ。私とハナと父さんは一切れ。リザは二切れ。アルバロは1本。


「おいしー」

「美味しいね!」

「気に入った?」

「キャラメル部分は甘いんだけど少しだけほろ苦くて、甘酸っぱいりんごと合う!」

 ぱくぱく食べてくれて嬉しい。父さんがリザにたくさん食べさせる気持ちが分かる。


 おやつの後、頂上まで登ってみて実り豊かな山だと実感した。もっと頻繁に採取に来ればよかった。もうすぐ冬なのが残念だ。




── その頃、冒険者ギルドでは


「今日はカナさんたちは来ていませんよ」


 冒険者ギルドでイレーネとグスタポが冒険者たちに説明する。

「討伐やダンジョンの後なので休養なさっているんじゃありませんか」

「お前らは何を知りたいんだ」


「カナさんが使っている剣の銘を知りたい」

「鉱物ダンジョンで片手でハナちゃんを抱えたカナさんが横から襲ってきたゴーレムを一閃したんだ」

「空振りかと思ったが次の瞬間、ゴーレムの上半身がずれて滑るように落ちた」

「カナさんは斬鉄剣ざんてつけんを振るう石川五ェ門のようだった」


『真っ二つのカナさん』が使っている剣について教えてと迫る冒険者たちに「剣より腕を磨け」とグスタポの雷が落ちた。


カナに不名誉なあだ名が増えた。

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