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第85話 イレーネさんカッコいい

 すっかり忘れていたけど大量に錬金していたので錬金ギルドに来た。


「いらっしゃいませ」

「錬金したものを買い取ってもらえるか?」

「では、あちらでお願いします」


奥の部屋に通された。


「こちらのトレーにギルドカードを、錬金されたものはあちらにお願いします」

 父さんと私がギルドカードを置いてインベントリから聖人の泉の小瓶100本とやり直しの石50個を出した。


聖人の泉の水は味方にかけたり飲ませたりするとポーション代わりになるし、魔物にかければダメージを与えられる便利アイテムで、やり直しの石は最後に訪れた町や城に戻れるアイテムだ。


「聖人の泉に出会ったんですね、幸運おめでとうございます」

「やっぱり珍しいのか?」

「はい、持ち込まれるのは年に2〜3回です」


聖人の泉の小瓶は1本1,800シル、やり直しの石は1個3,500シルで買い取りだった。


「この街ならではの錬金物ってあったりしますか?」

「爆弾石ですね。北門から出て2時間くらいのところある鉱物ダンジョンでドロップする素材から錬金出来るんです。普通のドロップ品の鉱物は冒険者ギルドで買い取りしていますよ」


 ワイバーンの討伐で警備隊が投げてたやつだ。空を飛ぶ魔物向きじゃ無いけど雌は地上にいたからあちこちから投げ込んで早く倒せた。


「モンテ・トラスで武器製造が盛んな理由は鉱物ダンジョンがあったから?」

「そうです、自然と武器の工房が集まって街になりました」


「ダンジョン行きたい!」

「ああ。明日はダンジョンだな!」


 錬金ギルドを出た後、父さんとリザとアルバロたちは市場に寄ってから我が家に帰って保存食の作りだめをすると言うので私とハナは冒険者ギルドに来た。


「イレーネさん、ちょっと相談したいことがあるんですが」

「では別室に行きましょうか」


「ドス・グラントで講習した時に作ったものなんですが…」

インベントリからバームクーヘンとクッキーとマカロンとフルーツケーキを出した。


「あら嬉しい。お茶を淹れますね」

イレーネさんがハナの分までお茶を淹れてくれた。


「ハナ、バームクーヘンとクッキー食べる」

「はいはい」

ハナのお皿に取ってやると上手にフォークでバームクーヘンを食べる。


「こちらは評判の保存食ね」

「それ以外はドス・グラントでレシピを販売しました」

「…甘くて美味しいわ。とっても贅沢ね」

「気に入っていただけたら良かったです」


「それで相談って、おじいちゃんの手紙に書いてあった婚活ってやつ?」

「そうです!」

「いい人は早く結婚しちゃうから焦ってるって本当?」

「真実でしょう?」


「あのね詳しくは知らないの。おじいちゃんの手紙には書いていなかったから。ただカナさんたちのパーティは恵まれた種族だって書いてあったから私の推測なんだけど、寿命の長い種族なのでしょう?」


「そうです。だからカミロさんが伴侶は同じ種族がいいって。私もそれはそうかなって」


「私の場合なんだけど最初の適齢期?15歳〜20歳頃の結婚相手探しは捨てたわ」


── 捨てた?


「その間にいろんなスキルを高めて自分のレベルアップに邁進したの。焦らなくても50年くらいすれば人族の伴侶を亡くした長命種はまた結婚市場に戻ってくるのよ」


── エルフ視点、すげえ。


「私たちは若い姿を長く保つから、さらにその50年後だって問題無しよ。私たちはね、結婚したいと思った時が適齢期なの。年齢には縛られないのよ!」

「イレーネさん、かっこいい…!」


「ちなみに私は130歳の時に結婚したの。相手はエルフの吟遊詩人で、この街の酒場と契約しているわ。昼の家事と子育ては夫が担当して夜は私。週末は家族の時間よ」


「あのね、結婚は先でもお付き合いはしたいなって。デートとか楽しいじゃない?」

「それはそうね!」

「合コンもしたいな!」

「合コン?」


「合コンていうのはね、男女3対3とか5対5くらいの人数で行う飲み会のこと!自己紹介から始まって、手拍子やコールで盛り上げての一気飲みとか、ポッキーゲームでイチャイチャとか第一印象ゲームとか王様ゲームで男女の距離を近づけるの!」


「楽しそうね!…ねえ、王都に行く予定はある?」

「あります!」

「私も紹介状を書くわ。王都の商業ギルド勤務の姪っ子がいるの。あの子は絶対にそういうの得意だから!」

「イレーネさん、頼りになるー!」

「警備隊が戻るころまでには用意しておくわ」

「ありがとうございます!あ…残ったお菓子は冒険者ギルドのみなさんで…」


「だめよ、こんなに美味しいものを食べさせたら大金をお菓子に注ぎ込む者が出てくるわ」

「あ、それは気づかなくて…じゃあ…」


「だからこれは私が責任を持って処分するわ。夫と子供にも秘密にするから安心してね」


 イレーネさんがさっさと自分のインベントリにしまった。イレーネさんは間違いなくカミロさんの血縁だと確信した。

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