第84話 ハナの午後 (U 'ᴥ' )ฅ
朝食の後、リザに乗って一足早く街に戻った。
「おかえりなさい、順調だったようですね」
真っ直ぐ冒険者ギルドに向かうと出迎えてくれたのはイレーネさんだった。
「討伐は昨日完了、犠牲者はなし。一緒に野営して今朝別れた。警備隊はゆっくり帰ってくると言っていた」
警備隊長さんのサイン入り受領証を提出した。
「警備隊の皆さんが戻るまでのんびりしててもいいかな?」
「もちろんです、同じお部屋を準備しますね」
「ありがとう」
まだ昼前なのでモンテ・トラスの商業ギルドに寄ることにした。この街に着いてすぐにキメラ騒ぎで冒険者ギルドしか見ていない。
「いらっしゃいませ、本日はどうされましたか?」
「委託販売しているものがあるので、モンテ・トラスでも納品できないかと思いまして」
ギルドカードを出すと確認してしてくれた。
「助かります、干し肉がじわじわ売れておりまして、まとまった数量を納品していただけたらと思います」
父さんがインベントリから求められるまま出して納品した。
「カナさんにはドス・グラントで納品していただいた製菓用の道具が売れましたので昨日ギルドカードに入金しました。金額に間違いはございませんか?」
「はい、事前に決めた通りに入金されています」
「ダンジョンからドロップした製菓素材があったら卸して欲しいという依頼があるのですが…」
「あります!」
不良在庫になっていた砂糖やハチミツを全部買い取ってもらえてよかった。
「お腹すいたー」
商業ギルドを出たところでハナが空腹を訴えた。
「ちょうどお昼だな、今日は屋台で飯にするか」
「やったあ、ハナお肉たべたい」
大喜びのハナが美味しい匂いを辿って欲しがるものを全部買ったら、どれも美味しかった。今のところハズレは竜人族とレーションと干し肉だけだ。
お昼のあと、市場をぶらぶらしてから宿の部屋経由で我が家に戻った。昨日は朝も夕方もハナのお散歩(激しめ)だったし討伐のサポートもあって疲れた。ハナも自分のインベントリからお昼寝布団を出して日向で丸くなっている。
あまりにも気持ち良さそうだったのでハナの隣に大きなビーズクッションを引っ張ってきてブランケットをかけて隣で昼寝した。
目が覚めるとハナが一緒に眠っていた。
「途中で目が覚めたハナが寝ぼけながらカナに向かって這っていって可愛かったよ」
一部始終を見ていたアルバロによると、ハナが途中で力尽きてもがいていたので拾って私の胸の上に置いたら安心したように眠ったらしい。
「そんな可愛いことしたの?」
腕の中でハナが、ぷうぷう寝息をたてていた。




