第77話 悪寒?フラグ?
「聖人の泉の水を錬金釜にいれて魔力を流してごらん」
アルバロに言われた通り、錬金釜にバケツ1杯分の水を入れて魔力を流すと錬金釜から小瓶が溢れた。
「自動的に小瓶に小分けされるんだ。この小瓶の状態で錬金ギルドに売れるよ。バケツ一杯で200本くらい出来るね」
私たちに都合良く出来すぎだろうと思いつつ全部小瓶入りに変換してからインベントリに収納した。自動的に小瓶に小分けされるのは助かる。
祝福の木の葉っぱはパーティ単位、部隊単位で最後に訪れた町や城に戻れるアイテム“やり直しの石”の素材なのでこれも錬金する。
「葉っぱ1枚と中級魔石1個を入れて魔力を流してみて」
出来たものを鑑定すると“やり直しの石”だった。
「まとめて錬金出来るよ。葉っぱ100枚と中級魔石100個で試してみて」
いいこと聞いた…まとめて全部“やり直しの石”になった。
「これ、すごい金額になるんじゃない?」
「そうだね」
「必要としている人も多いの?」
「うん、その割に出回らないから希少性で割高になっちゃうんだ」
「じゃあ、これからいく街で100ずつくらい売りに出そうか」
「そうだな、広く活用されるといいな」
私と父さんのやりとりをアルバロがニコニコ聞いていた。
「ハナ、探検したい」
「リザと行ってくる?」
「うん」
おやつの葡萄ゼリーを持たせてハナとリザとアルバロを送り出した。父さんと私はいつものルールで採取した。
3時間で区切りをつけて我が家に帰って晩ごはんの支度をしているとハナたちが帰ってきた。
「大きいのドカンした!」
「僕の収納に入れてあるから明日見せるよ」
「ありがとうアルバロ、ハナは楽しくて良かったね」
「うん!」
その日の夕食は秋刀魚の塩焼き定食だった。ハナにはドッグフードの小鉢をつけて、リザにはアイスバインの残りをつけたら喜ばれた。
翌朝は昨日のパイアの森近くからスタート。
「出発の前に、昨日ハナが倒した魔物を見せるよ」
どすん!
アルバロがインベントリから出した魔物はキメラだった…。
「これ、騒ぎにならないか?」
「間違いなくなるね」
「……」
モンテ・トラスでの婚活に暗雲が立ち込める予感がした。




