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第73話 マカロンの講習

本日3話目です(3話更新)

いよいよ最終日だ。


「今日はマカロンを作ります。腕力と体力を使いますから頑張ってください」

「腕力?」

「体力?」

ちょっと騒ついた。


「まずはメレンゲを作ります。ボウルに昨日の余った卵白を入れ、白っぽくなるまで泡立てます」

 ハイ・ヒューマンの身体能力をいかして超高速ホイップだ。それでも数分かかる。


「このくらいになったら砂糖を4回に分けて加えていきます。砂糖を加えるごとに泡立てます。こうしてツノが立つまで泡立て、しっかりとしたメレンゲを作ります。さあ皆さん頑張ってください」


 全員、弱音を吐きながら休みつつなんとか泡立てた。泡立てが足りない場合、容赦なくダメ出しした。


「次はマカロナージュという工程です。ヘラの面を使ってボウルの側面にメレンゲを押し付けるように伸ばします。これを何度か繰り返してメレンゲの気泡を潰します」

「せっかく泡立てたのに…」


「そうなんです。でも必要な工程なのです。でも混ぜすぎると焼いた時にピエができなかったり膨らまなかったりします。逆に混ぜたりないと膨らみすぎて表面が割れてしまいます。難しい工程ですが今日は皆さんに成功してもらいます」


1人ずつ見守りながら混ぜてもらった。


「混ぜていると表面に艶がでてきましたね、生地をヘラで持ち上げてから、垂らしてみてください。リボン状に落ちるようになればマカロナージュの完了です」


全員、良い状態になった。


「口金をセットした絞り袋に入れて天板に直径3cm程の丸型に絞ります」

絞り袋は丈夫な布で用意した。


「全部絞れたら天板の下を4、5回軽く叩いて余計な気泡を取り除きます。膨らみ過ぎて表面が割れるのを防ぎます」

「焼くのか?」

「いいえ常温で1時間ほど乾かします。その間に挟むジャムを作りましょう」


 鍋でベリーを煮てジャムを作る作業は今日1番楽しそうだった。


「そろそろ乾いたか確認してみましょう。指先で触ってみて表面が少し凹むけど指に生地がつかなければ乾燥完了です。しっかり乾かさないと焼いた時に表面が割れてしまいます」


「今度こそ焼くのか?」

「焼きます」

「やっと…!」

涙目の人もいた。


「薪オーブンの温度は最初は200度で1分〜1分30秒くらい。次に温度を落とします。130度から150度くらいで10分。これは目安なので良い頃合いだと判断したタイミングで出してください。温度が高すぎるとピエが出来過ぎて中が空洞になるので」



全員、ほぼ同じタイミングで焼き上がった。

表面が艶々できれいだ。

「皆さん成功ですね!」


「疲れた…」


「試食してみましょう」

 作ったばかりのジャムを挟んでいただいた。

今回販売したレシピの中でマカロンはころりとした形と鮮やかなジャムで圧倒的に見栄えが良い。



「美味しい…」

「疲れた身体に甘さが染み渡る…」



「お菓子作りは体力です。腕力つけてくださいね!」

料理人の皆さん、ちょっと辛そうな表情だった。

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