第59話 魔物寄せロープ
「魔物寄せは無いのか?」
「娘が作った魔物寄せロープならある」
「魔物寄せロープ?」
「魔物寄せロープを広げると空気が揺らめいてロープで囲われた中に魔物がポップするの。魔物はロープで囲んだ中から出てこられないからより安全に訓練したり出来るんじゃないかな」
マルコスさんがカッと目を見開いて固まった。
「需要無いのかな」
「ポーションが充分売れたぞ」
「そうだね、ロープは売れなくなても良いよね」
「まってくれ、追いつけない」
マルコスさんが片言になってしまった。
「そんな素敵アイテムがあるのか!?」
「えっと…レプーザの森で使って試したから」
「冒険者ギルドのネルソンを誘って街の外に行こう!」
冒険者ギルドにとって返してネルソンさんを誘って街の外の人気の無い荒野に来た。
「ロープは4種類あります」
・弱い魔物がポップする魔物寄せロープ
・普通の魔物がポップする魔物寄せロープ
・強い魔物がポップする魔物寄せロープ
・とても強い魔物がポップする魔物寄せロープ
「効果時間は30分。まずは弱い魔物がポップする魔物寄せロープを使います」
ロープを広げると空気が揺らめいてロープで囲われた中にスライムがポップして、ロープぎりぎりの場所から酸を飛ばしてきた。全部のスライムが酸を吐いたのを確認してから近づいて倒して離れると次のスライムがポップ。
今回も30分ほどでスライムがポップしなくなった。
「ロープを鑑定してみて?」
「ただのロープだ…」
全種類のロープで試し、ポップした魔物はハナが喜んで倒した。可愛い仕草で繰り出す熊パンチの威力にネルソンさんとマルコスさんが少し引いていた。
「本当に魔物はロープの外に出てこられないんだな」
「見えない壁に遮られているようだったな」
「鑑定してみたが、ただのロープに戻っているぞ」
「買い取りは?」
「もちろんあるだけ買い取りたい!しかし価格を決めるために時間をくれ」
「分かりました」
「明日はお仕立てしようよ」
「この辺りで出来る依頼も受けてみたいな」
きゃっきゃしているとネルソンさんとマルコスさんの間で相談がまとまったらしい。
「じゃあネルソンさん!さっきポップした魔物全部、冒険者ギルドで買い取りお願いします」
ネルソンさんが疲れた顔をしていた。働かせ過ぎたかもしれない。




