第54話 はじめての調合
採取の後は魔法陣で我が家に帰って晩ごはん、お風呂を済ませてお布団で眠った。
採取の次は調合だ。明日は朝から調合したい。
ハナと遊ぶ時間が無くてぐずられるかと覚悟したがリザがハナを誘ってお散歩ダンジョンに行ってくれた。アルバロは通訳で着いて行った。ハナがあっさり出かけてしまって、ちょっと淋しい。
「ここで良いか」
「うん」
使っていなかった折り畳みテーブルを納戸から出してきて庭で広げた。調合は何があるか分からないから外でやることにしたのだ。
アルバロが出してくれた練金釜をテーブルに置いて採取した薬草を浄化する。水道水も浄化して薬草1本と浄化した水を目分量で錬金釜に入れて魔力を注ぐとポン!と音がした。
錬金釜の中にはポーションっぽい小瓶。取り出して鑑定すると上質なポーションだった。
「出来ちゃったね!」
「簡単過ぎないか?」
父さんが不満そうだ。
「ちょっと待ってろ」
父さんが複製した包丁とまな板と量りと計量カップを持ってきた。
「薬草の傷んでる部分を取ってみよう」
料理人ぽいことを始めた。
きれいにした薬草1本と浄化した水100ccを錬金釜に入れて魔力を注ぐ。
ポン!
出来上がったのはさっきと同じ見た目の小瓶。鑑定してみると、最高級ポーションと出た。すっごく楽しい。
きれいにした薬草1本と浄化した水200ccを錬金釜に入れて魔力を注ぐ。
ポン!
出来上がったのはさっきと同じ見た目の小瓶。
「お水を倍、入れたのにポーションの容量は変わらないんだね」
「俺もでっかくなると思った」
鑑定してみると、最高級ポーションと出た。水の量でポーションの質に変化は無いらしい。
「浄化しないとどうなるのかな」
薬草も水道水も浄化せずに錬金すると出来上がったのはポーション。
「普通のポーションが出来るんだね」
「浄化スキルを持っていない人間の方が多いから最高級ポーションは希少そうだな」
「今度は薬草を減らしてみようよ」
傷んでる部分を取って浄化した薬草と浄化した水を用意した。
「薬草1本がだいたい10gだから3g、5g、10g、20gで試してみよう。水は100ccだ」
【傷みのない薬草と水を浄化済】
3gと100cc…品質の劣るポーション
5gと100cc…ポーション
10gと100cc…上質なポーション
20gと100cc…最高級ポーション
1g刻みで薬草の量を調整してみたら20gで最高級ポーションになると分かった。30g、50g、100gで試したけれど最高級より上はなかった。
「面白いね!」
「傷んだ部分をとって浄化しない場合も試してみよう」
【傷みのない薬草と水で浄化無し】
3gと100cc…とても品質の劣るポーション
5gと100cc…品質の劣るポーション
10gと100cc…ポーション
20gと100cc…上質なポーション
30gと100cc…最高級ポーション
薬草に傷んだ部分が残っていると薬草の量を増やしても最高級ポーションは出来なかった。傷んだ部分が残った浄化していない薬草50gで上質なポーションになった。
「こうなるんだ」
「少し残して錬金しよう」
少し残すのは冒険者ギルドに納品するためだ。薬草の納品というのをやってみたいのだ。
干し肉やフルーツケーキはフォルダで複製してギルドに納品したけど薬草の採取や錬金は楽しいので複製せずに採取と錬金という縛りでやっていこうと決めた。1つだけ試しに複製してみたら割に合わないくらい魔力を抜かれたというのも理由の1つだ。
同じような過程を経て毒消し草から最高級の毒消しポーション、麻痺消し草から最高級の麻痺消しポーションを作ったところでお昼になり、ハナたちが帰ってきた。




