第53話 レプーザの森で採取
ローレで必要なのはハナの牛乳だけだったので次の街を決めたら牛乳のダンジョンでものすごい数の美味しい牛乳を確保した。これだけあれば美味しい牛乳が足りなくなってハナがぐずることもないだろう。もし足りなくなったらインベントリで複製しよう。
「ドス・グラントへは車で行くぞ。途中の森林に寄って薬草を摘んでみたい」
「いいね!鑑定のスキルを使ってみたいと思っていたんだ」
「俺もだ。調合もやってみたい」
「ポーション作りって異世界っぽいよね!」
「ぽいな!」
父さんと私の厨二病が悪化の傾向だ。
ハナを抱いて助手席に乗り込んで3時間ほど進むとマッピングスキルでレプーザの森と表示されるエリアに近づいてきた。
時間を確かめた父さんが車を停めた。
「ここらで昼飯にしよう」
ちょうど良さそうな場所に車を停めてタープを張って竈門を組んだ。
お昼は父さんのキャンプ飯だ。今日は豪華にパエリアとビーフシチュー。贅沢な具材たっぷりで作ったパエリアとビーフシチューは絶品だ。
「おいしー!」
ハナが『おいしー』を連発しているしリザとアルバロのおかわりもペースが早い。ダンジョンでドロップする肉や野菜は本当に美味しい
「みんなで攻略したダンジョンのドロップ品で作ったんだ。たくさん食べろよ」
ちょっと多いかなと思ったけど全員で完食した。
「おいしかったー!」
ハナがご機嫌で可愛い。
「この後、俺とカナは鑑定を使いまくって“やくそう”を採取する」
父さんがドラク○エっぽく言った。
「ハナ、薬草たのしくない」
ハナの表情が曇る。
「ハナちゃん、私と一緒に探検しましょう」
「僕がハナとリザの通訳を務めるよ」
モフモフ好きなリザがハナを誘うとアルバロが通訳を買って出てくれた。
「腹が減ったら帰って来いよ」
「僕が着いているから大丈夫。馬車も竈門も全部インベントリにしまっていいよ。どこにいても分かるから魔法陣で2人のところに行くから」
「リザちゃん、いこう!」
さっそく走って行って見えなくなったがアルバロが一緒なら心配ない。
「俺たちも行くか」
「うん」
ある程度進んだところで鑑定スキルを試してみると薬草の名前が見えた。さらに詳しく見ると推奨される採取方法まで見えた。
「薬草は地面に出ている部分を3cmほど残して採取するのがマナーだって」
「それだけ残せば2週間でまた採取できるのか」
父さんと一緒に採取しながら進んでゆくと“毒消し草”があった。
「楽しいな!」
「うん!ねえ父さんあれも鑑定してみてよ、“麻痺消し草”だって!
「麻痺を解消するポーションの材料か!」
「“まんげつそう”じゃないんだね」
「こっちの方が分かりやすくて良いんじゃないか?」
「そうだね」
この他に“またたび草”を見つけた。またたび草は30分間だけ魔物がポップしまくる魔物寄せの原料になるらしい。レプーザの森で採取できるのはこの4種類のようだった。
父さんとルールをきめた。群生してても採取は最大で半分まで。明日ここに採取に来る人がいるかもしれないから。
「カナちゃん!」
夢中で採取していたらハナの声が聞こえた。振り返ると可愛い顔で突進してきたので受け止めると頭をぐりぐりしてきた。リザは父さんのところに直行だ。
「楽しかった?」
「うん!リザちゃんと一緒にイノシシをドカンした」
「群れが大きくなり過ぎてて森の生態系が破壊されそうだったからリザとハナに間引いてもらったんだよ。
「アルバロもハナのお守りをありがとう」
「ううん。それよりリオとカナが薬草を残しながら採取してくれて感謝してるよ」
── そこまでお見通しとはさすが神だな。
「ここで採れる薬草、毒消し草、麻痺消し草、またたび草はどこにでも生えててレア度は最低なんだけど役に立つよ。人々の生活に無くてはならない常備薬やレベルアップのための原料」
「お医者さんのいない村もありそうだもんね、薬草で大抵の不調が治るって良いね」
「うん。それに世界のどこかにレア度の高い葉っぱがあるよ」
どんな葉っぱか聞いたら教えてくれた。
【聖なる木の葉っぱ】
魔物避けの原料
【加護の木の葉っぱ】
聖水の原料。MPを少し回復
【エルフの森の加護の木の葉っぱ】
すごい聖水の原料。MP全回復
異世界っぽくて口元がむずむずしたけど我慢した。




