第52話 次の目的地へ父さんを誘導
父さんのキノコの売り込みは上手くいったようで商業ギルドの職員が各種キノコの買い取り資金と冬支度に必要な物資を持ってケレンカに向かったと聞いた。キノコ類は地球と同じ価格帯で取り引きされるらしい。トリュフは王都の富裕層向けに販売されることになったと父さんが喜んでいる。
「干し肉とフルーツケーキの売れ行きも順調みたいだね」
「ああ。キノコ料理の人気も上々らしい。香りが強いから近くのテーブルが注文すると芋づる式に注文が入るようだ。ついでに酒が出るから居酒屋やレストランも儲かる」
「次の目的地の相談なんだけど」
「なんだ、ローレに飽きたのか?」
「ローレはいい街だよ。でも多くの街を回ってみたいじゃん」
「それは俺も思ってた!」
「カミロさんが紹介状を書いてくれたんだよね」
「カナは仕事が早いな!フランスの製菓学校への入学もさっさと決めて俺が止める間も無く出発しちまって…」
「あれはあの時の私に必要なステップだったんだよ。迷っている時間も相談する時間も無かったの!」
うるさいので地図を広げた。
北へ行くと織物が盛んなドス・グラント。
西へ行くと武器製造が盛んなモンテ・トラス。
そこから南西へ行くとルースラゴスという漁師町。
「この他にカミロさんが紹介状を用意できるのは王都だって。すでに全部書いてくれたよ」
「それはありがたいな!せっかくだから全部回ろう。1番近いのは織物が盛んなドス・グラントか」
「それならドス・グラントでファンタジーっぽい衣装をお仕立てしようよ!」
「いいな!俺はムキムキになったし以前なら考えられないデザインも着こなせるかもしれないな!」
ハナの気がすむまで牛乳のダンジョンで牛乳を確保したらドス・グラントだ。
毎日、お散歩ダンジョンでハナが魔物を倒しまくってくれているおかげで資金は潤沢なので無理な依頼を受ける必要がないのはありがたい。行く街々でハナが喜ぶものも買ってあげよう。




