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第50話 カミロさんに相談

 父さんはアルバロとリザをアシスタントにキノコ料理の試食を大量に作っている。たくさん作って複製して商業ギルドにレシピとセットで納品するのだ。


 なので私はハナを連れて冒険者ギルドにやってきた。



「カナさんが私に相談とはいかがされましたか?実に美味しそうですね」

 大きなランチボックスをインベントリに入れてカミロさんをお昼に誘ったら冒険者ギルドの休憩室に通してくれた。


「これは私が焼いたパンで作ったサンドイッチ。時間が経ってもふわふわしているのが特徴なの」


 BLT、えびアボカド、照り焼きチキン、卵サンド、ツナマヨきゅうり、焼き肉サンド、モルタデッラとトマトとチーズ、カツサンド、ローストビーフ、生ハムマスカルポーネ。それぞれの具材に合うパンで作った。

 萌え断面なフルーツサンドはマスカット、マンゴー、イチゴ、キウィ。

 サンドイッチに野菜を多めに挟んだ代わりに唐揚げとタコさんウインナーもつけた。スープはコンソメスープ。


「ハナ、ローストビーフがいい!唐揚げもたべる。フルーツサンドはイチゴがいい」

「はいはい」

 ハナのお皿に乗せてやるとお行儀よく食べ始める。

「おいしー」

今日もハナが可愛い。


「………カナさん…」

「なんでしょう、苦手な野菜でもありましたか?」

「年寄りを子供扱いしないでください。私は260年ほど生きていますが、食べたことのないものばかりです」

「260年…」

「いえ、言いたいのはそこではなくて。柔らかいパンはカナさんのオリジナルなのでしょうが、この肉の味付けは興味深いですね。食べたことのない複雑な旨みがあります」


 肉…カツサンドのソースか焼き肉サンドの味付けか照り焼きサンドの味付けのことか。卵サンドにマヨネーズも使っちゃったな。どれも出さない方が良かったかな。


「具材は父さんに用意してもらったから」

調味料の件は父さんに押し付けよう。


「もちろん企業秘密でしょうから聞き出そうとは思っていません。冒険者時代、世界中の主な街を回ったけれど、どこで食べたものよりも美味しいですよ」


「それ!」

「?」

「カミロさんは広く世界のことに詳しいと思って。教えてもらいたいことがあるの」

「こんなに美味しいお昼をいただいては答えないといけませんね」


「婚活を頑張りたいの」

「こんかつ?」

「良い結婚相手を探してるの」

「カナさんはまだ成人したばかりでしょう?」

「ぼうっとしていたら、あっという間に時間が過ぎちゃう。それにぐずぐずしてたら良い人はさっさと結婚しちゃうでしょ」


「カナさんは現実的ですね。そうですね…田舎に行けば田舎に行くほど幼なじみ同士で結婚することが多いですね」

「よその村へ婚活に行ったりしないんだ?」

「生まれた村や街を一生出ない人も多いですよ」


 それは嫌だな。いろんな才能が人知れず埋もれてしまいそう。


「このローレもそんな田舎町ですよ。ここで生まれてここで生きてここで死ぬ。先祖代々そんな風に生きてきたという人がほとんどです」

 カミロさんが上品にサンドイッチを食べながら話を進める。


「カナさんはローレで婚活するべきではないと思います。ローレの冒険者ギルド職員としては命懸けで引き止めるべきなんでしょうが、ローレにカナさんに相応しい適齢期の男性はおりません」


……きっぱりと言いよった。カミロさんが断言しよった。



「カナさんは種族的にも恵まれています。スキルも有力なものをお持ちのはずです。しかも若く可能性に満ちています。滞在期間を決めて、いくつかの街を回ってみてはいかがですか。最終的に王都で婚活?とやらをしてみるのもいいでしょう。いくつかの街のギルドに紹介状をご用意できますよ」


「紹介状をお願いします!」

迷わずお願いした。


「私からのアドバイスを1つだけ」

「なんでしょう?」

食い気味に聞いた。


「冒険者としての強さを見せるのはいいと思います。必要なことです。しかし力自慢は隠しておいたほうが婚活を有利にすすめられると思われます」

「?」


「マヤの宿で暴れる冒険者を排除したことが評判です。タンク職などパワー自慢の冒険者たちが『グッと持ち上げてドーンのカナさん』と呼んで憧れの対象としているようですが、それはカナさんが思い描くモテ方ではないでしょう?」


── マヤさんの宿で暴れていたならず者を片手で持ち上げて手首のスナップをきかせて軽く放ってやったら通りの反対側まで飛んで行ったアレか!


大失敗だよ、ちくしょーめ!

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