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第43話 商業ギルド

 翌日、昼前に冒険者ギルドにやってくるとフラビオさんが待っていてくてた。



「忙しいのに悪いな」

「いやいや冒険者ギルドとしても嬉しい改革だ。商業ギルドに行く前にちょっといいか」

「なんだ?」


「ランクアップだ」


「もう?」

「たくさん依頼をこなしてからランクアップでしょう?」

私たちはダンジョンに行っただけだ。


「ダンジョンのドロップ品を納品してくれただろう?依頼のあったドロップ品が多かったので依頼達成で処理したんだ。それにあのダンジョンを最上階までクリアしたんだからな」

「そういうものなのか」

「とりあえずDランクだ。本当の実力はこんなもんじゃないと分かっているから実績を出せばまたすぐに上げるぞ。これは依頼の内訳と依頼料だ」


 フラビオさんが金貨や銀貨を並べてくれたので依頼のリストを見ながら確認した。依頼料のやり取りを終えると手早く全員のカードを集めて処理してくれた。受け取るとDの文字になっていた。


「それじゃ行くぞ」

 ぞろぞろと歩いて商業ギルドに向かった。商業ギルドは街の中心部にあった。



「ジュリアはいるかー」

入り口でいきなり名前を呼んだら少しして見るからに頭の良さそうな女性が出てきた。


「フラビオじゃないか、今日はどうしたんだい」

「すっごい新人を連れてきた。商業ギルドへの登録も希望しててな」

「奥へどうぞ、詳しく聞かせてくださいな」



奥に通されるとフラビオさんが私たちについて説明してくれた。

「いきなりDランクかい、そりゃあすごいね」

「でも本職は料理人だって言うんだ」


ジュリアさんがムキムキな父さんを見る。

「料理人?」


「ああ、俺はいろんなジャンルを作る。娘はスイーツとパンが専門だ。冒険者の保存食を改良して販売したい」


 ジュリアさんが『え?料理人?』とつぶやいている。


「試作がある」

父さんが干し肉を、私がフルーツケーキを出す。

「どうぞ」


「ハナもたべたい!」

 父さんがハナに干し肉を渡すと手で持ってカミカミする。ジュリアさんも干し肉を試食する。


「美味しい…」

「だろう?干し肉なんて不味いのしか食ったことないから衝撃だった。試作をもらって冒険者ギルドのみんなで試食したら全員買いたいと言った」


「ダンジョンでドロップした肉を使えば材料費はタダみたいなものだ。今の干し肉と同じ価格で売れる」

「いや…既存の業者が潰れちまうから少し高く設定して欲しいね。既存の干し肉業者が努力して美味い干し肉を作るようになったら価格競争が起こって干し肉全体の価格が落ち着くだろうから、それまでは高級干し肉だ」


「なるほど、それで構わん」

「販売を商業ギルドに委託したらどうだ?その場合、手数料を払うことになるが仕入れ元を秘匿できるから面倒に巻き込まれることもなくなるぞ」


「それはいいな!」

「うん」


「フルーツケーキもいただいていいかい?」

「もちろんです」


「これは美味しいね…冒険者の保存食というより高級な嗜好品として引っ張りだこになるよ。貴重な砂糖をたくさん使っているんだろう?」

「ダンジョンでドロップしたきび砂糖を使っているから材料費はただみたいなものですよ」


「お前ら以外誰も攻略出来ない最上階フロアのドロップ品だから高級品なんだぞ」


 フラビオさんが困った子供を見るような目で見てくる。砂糖は買い取りしてもらえなかったから不良在庫だとは言えないな。


 フルーツケーキは未開封なら長期保存可能なので遠くの街への販売も可能な高級品として販売することになった。高ランク冒険者なら保存食扱いすることがあるかもしれないとのことだった。



 父さんと私は商業ギルドに登録することになりギルドカードに商業ギルド員の印が追記された。

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