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第41話 リオの保存食

「31階を攻略したのか?」


「ああ、漏らさずったぞ」

「31階は最近出来たフロアでな、森林や低木に擬態した特殊なトレントが四方から攻撃してくる上に巨大な蜂が空中から攻撃してくる難易度の高いフロアだ。高ランクのパーティが様子見して入り口で引き返してきた。まだ全体を攻略したパーティはいないんだ…いなかった」


 フラビオさんが疲れた顔で言い直した。犠牲者が出ないか心配なのだろう。アルバロはやりすぎだ。アルバロを横目で睨むと何故か不満そうな視線を返された。


「もし、もしもだ…聞いてよければなんだが」

「攻略法か?」

「もし良ければだ。本来、頼めることじゃない。名物屋台の秘伝のソースみたいなもので誰かに聞かれてほいほい答えるようなことじゃない…口に出して悪かった」


「全然かまわん。ただ真似は出来んぞ」

「私がドラゴン化してから火を吹いてフロア一面を焦土にしてやりました」


「………」


「リザはすごいんだ」

私とハナがうんうん肯く。


「その後で俺と娘が魔法で地面を冷やしてから拾いまくった」

「どこに出します?」


 ハチミツとメープルシロップ、きび砂糖を積み上げると結構な量だった。


「クラーケンの肉を買い取りたいというレストランも出なかったのに…」

放心するギルドマスターのフラビオさん。


「ここは田舎町なので高級店はないんです。クラーケンを調理してみたいという店は多いんですが、高級食材を仕入れても注文が入るか分からないので仕入れに踏み切れないというんです。ハチミツは普通に流通しているものなのですが難関フロアからドロップとなると高額になるので販売は難しいと思われます。ギルドでの買い取りもできるか分かりません」


 放心したフラビオさんの代わりにカミロさんが説明してくれた。

アルバロは甘いものを流行らせたいと言っていたのに絶望的だな。横目でアルバロを見ると頭を抱えていたのでダンジョンに調整が入りそうだ。


「そうか!それなら無理に買い取りしてもらわなくても大丈夫だ。それより相談があるんだ」


「なんでしょう?」

「干し肉なんかの携帯食料がまずい」

「それは全冒険者が思っていることだな」

フラビオさんとカミロさんが肯く。


「それでな、携帯食料を改良したい。こういう商売をするには違うギルドに登録が必要なのか?」

「そうだな、商人ギルドになるなあ」

「ギルドマスター、紹介状をご用意してはどうですか?」

「そうだな!」


「それは助かるな!ちょっと試食してみてくれるか?」


 父さんがインベントリからお弁当箱のような箱を取り出す。蓋を開けると中には干し肉が詰まっていた。

「まずは干し肉だ、試食してみてくれ」


「ハナもたべたい!」

「ほら」

1つ取ってハナに渡す。

「ありがとー」


ハナが干し肉を手に持ってカミカミする様子が可愛い。

「おいしー」

「ハナちゃんはパパの料理が好きか?」

「大好きー」

「そうか!大好きか!パパもハナちゃんのことが大好きだぞ!」


 ハナと父さんがいちゃいちゃしている間にフラビオさんとカミロさんも試食していた。


「美味い…」

「カビない腐らないだけに特化した干し肉と違います。旨みを感じる…」

フラビオさんとカミロさんが呆然だ。


「俺の手作りビーフジャーキーを改良して常温で1ヶ月もつようにした」

魔法で乾燥させたり浄化を使いまくったらしい。


「こんなに美味い干し肉があったら遠征の辛さも紛れるな」

「しっかりと下味がついているから刻んで煮込めばスープになるぞ。市場で売ってる干し肉は干しただけだろ?」

「リオさんは多才だな。優秀な冒険者なのに保存食まで作ってしまうとは!」



「俺の本職は料理人だ」


フラビオさんとカミロさんが再び固まった。

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