第40話 買い取り
「じゃあ、帰るぞー」
父さんの呼びかけで全員帰還の魔法陣に乗るとハナが魔力を流して入り口に戻った。
「無事のご帰還おめでとうございます、カルピオ・パーティの皆さまですね!」
「ただいま」
「ドロップ品の買取はここでも街の冒険者ギルドでも受け付けていますのでご自由にどうぞ」
「街に戻ることも出来ますし、ダンジョンの周囲の宿屋に泊まることも出来ますよ」
「街に戻ってマヤの宿にするか?」
「うん」
マヤさんの宿は綺麗でお気に入りなのだ。
「お疲れさまでしたー」
ダンジョンの職員に見送られて外に出ると夕焼け空が見えた。
「ダンジョン楽しかったね!」
「そうだね」
ご機嫌なハナは帰りも助手席に乗りたがったので私と一緒に助手席。5分で街に着いた。
冒険者ギルドでの買い取りは明日にしてマヤさんの宿へ向かい、同じ部屋で延長手続きを終えた。いつもの部屋経由で我が家に帰る。
「家に入る前に浄化するぞ」
父さんの浄化魔法で全員綺麗になってから家に入るけど気分で手を洗ってしまう。
ちょうどいい時間なのですぐにご飯だ。
「今日は作り置きの角煮だ。舞茸の炊き込みご飯は土鍋で炊いたからお焦げもあるぞ、あとは根菜の味噌汁に卵を落としてある。角煮の卵と卵かぶりだけど今日は特別な!副菜は野菜の煮浸し、蛸ときゅうりの酢の物に胡麻豆腐」
「美味しそう!」
「いただきまーす」
「卵も半熟に出来たな」
「お肉もたまごもおいしー」
もりもり食べるハナが可愛い。
「明日はギルドで買い取りでしょう?全部出さないよね?」
「ハナちゃんの牛乳は全部取っておかないとな!」
「チーズは味見して残すか決めたいな。私はヤギチーズは要らない」
「残すにしても全部は要らないだろ。肉類は少し残して試してみよう。美味かったらまた狩りに行けばいい」
全員一致で宝石類や武器、毛皮などは全部売却することになった。
「おいしかったー!」
「よかったね、今日は疲れたね」
「たのしかったよ」
チーズの試食をしながら眠ってしまったハナをお布団に運んて、ぬいぐるみを抱いてお布団で眠る可愛いハナの動画と写真を撮って壁紙に設定した。
翌日は遅めに起きてゆっくり支度して家を出た。遅い時間だと冒険者ギルドもガラガラだった。
「いらっしゃいませ、カルピオ・パーティのみなさん」
「アントニアさん、こんにちは」
初めて冒険者ギルドに来た時にハナの牛乳を代理で買ってくれた職員の女性が受付だった。
「本日はどうされましたか?」
「昨日、牛乳のダンジョンに行ったんだ。牛乳以外を買い取りしてもらえるか?」
「量が多いと思われますのであちらでお願い出来ますか」
「悪いな」
買い取り用なのか仕切りの向こうに大きなテーブルがあった。
「宝石類はこちらのトレーに、魔石はこちらのトレーへ、毛皮などはこちらへ。肉類などの食品がある場合は衛生面で注意が必要なため、後ほど別室でお願いします」
「それは安心だな!」
父さんが返事をしながら、宝石と魔石を種類ごとにまとめた巾着をどんどん乗せる。その横で牙や毛皮を積み上げるとアントニアさんが見えなくなった。
「みなさん、昨日は何階まで?」
アントニアさんの声だけ聞こえる。
「最上階までだな、牛乳のフロアは何周かしたぞ」
カミロさんも応援にきてくれて全部査定してくれた。
1フロア平均で30体くらいの魔物がポップした。それが30階分。魔石は低層階、中層階、高層階で価格が変わるが全部で810,000シル。
毛皮や牙や宝石類で1,670,000シル。すごい金額になった。たった1日で合計2,410,000シル。
次に別室で食品。部屋に入る前にカミロさんが全員を浄化してくれた。
「では肉類はこちらに、牛乳とチーズはこちらにお願いします」
牛乳は全部手元に残して、肉やチーズはほとんど買い取ってもらって72,500シル。
「ハチミツやきび砂糖やメープルシロップはどこに出す?」
麗しいエルフのカミロさんが固まった。
「ギルドマスターを呼んできますね」




