第36話 牛乳のダンジョン
「おいしい牛乳のダンジョン行くの?」
「そうだよ。街の西門から出て1時間って言ってたっけ?」
「うん。最初のフロアはスライムで5階置きにボス部屋。ミルクがドロップする牛型魔物のいるフロアは16階以上。チーズや牛肉もドロップするよ。もっと上の方に最近追加したエクストラ・フロアがあるんだ」
「最近?」
「ハチミツをドロップするハニ・ビーとメープル・トレントとキビ・トレント!」
「スイートポテトを作った時に話してたやつ?アルバロは仕事が早いね」
「甘いものは貴重だから食べて美味しくて売ってウハウハ間違いなしだよ」
「それは楽しみだね」
「ハナ、おいしい牛乳がいい」
話しているうちに門に着いた。出口では荷物のチェックがあった。インベントリに入れていたら調べようがないけれどインベントリは生きているものは入れられないので誘拐のような犯罪の抑止にはなる。あとはギルドカードを見せれば通れる。
「カルピオ・パーティのみなさんですね!」
「先日はマヤの宿で暴れていた冒険者の確保にご協力ありがとうございました!」
「あいつらはどうなったの?」
「以前から迷惑行為を繰り返していたので冒険者資格を永久剥奪の上、鉱山に送られました。犯罪は未遂だったので半年ほどで一般社会に戻ってきてしまいますが…」
「報復にご注意くださいね」
「返り討ちにするから大丈夫」
「ですよねー!」
「グッと持ち上げてドーンですよねー!」
ノリの良い門番たちに見送られて街を後にした。
「クルマ出すぞー」
父さんの車…ここでは馬形オートマタを動力とする馬車に乗って5分でダンジョンに着いた。
「列に並ぼう、結構人気のダンジョンなんだな」
充分な間隔を空けて次のパーティを送り出すので列の進み方は早くないけれど25分ほどで順番が回ってきた。
「カルピオ・パーティのみなさんですね!最近、最上階に新しいフロアが出来たようなのですが難易度が高く、まだ攻略されておらず情報もありません。31階には進まずに30階で帰還してくださいね」
「準備が出来ましたら、そちらの魔法陣に乗ってください。全員乗ったことを確認したら、どなたか代表で魔力を流していただくと“はじまりのフロア”に転送されます。各フロアにセイフティゾーンがありますのでご無理なさらず休憩しながら攻略してくださいね、ではいってらっしゃいませー!」
全員で大きな魔法陣の真ん中に乗る。
「ハナ、魔力ながすのやりたい!」
「はいはい」
「全員乗ったからいいぞ」
「えい!」
魔法陣が光った。光が収まると草原にいた。
「はじまりのフロアはスライムしか出てこないよ、サクサク進もう」
少し進んだら青色の基本のスライムがポップしたのでハナが倒す。魔石は私が回収した。
紫色のベリーベリースライム、プリン色のプリプリスライム、白いホイップクリームスライム、黒いダークスライム、毒バブルスライム、触ると痺れるビリビリスライム、頭に王冠を乗せた王さまスライム、燃えているフレイムスライム、宝石をドロップするレアなジュエルスライム、メタルスライムなど多種多様なスライムがポップして飽きない。
はぐれメタルそっくりな、さすらいのメタルスライムは経験値が凄いらしい。
「スライム楽しい!」
ハナが大喜びで倒して私たちがドロップ品と魔石を拾ううちにフロアを攻略していた。
「ハナ、次のフロアに行くよー」
「ハナもっとスライムと遊びたい」
「次のフロアはもっと楽しいよ」
「行く!」
ハナがこういう性格で助かるなと思いながら階段を登って次のフロアに進んだ。




