第324話 今日は王都
久しぶりに王都に来た。今日はゆっくり出発したのでハナが起きている。
「次の方…クマちゃん!」
「クマちゃんだ!今日は起きてるね」
「こんにちは!」
「はい、こんにちは」
ペットスリングの中からハナが手を振る。今日もハナがモテモテだ。
「カナちゃん!カードだして」
「はいはい」
ギルドカードを出すとハナが手をかざして魔力を流してギルドカードをキラキラさせ、ドヤ顔で門番さんたちを見上げる。
「はーい、本人確認できました」
「ご協力ありがとう」
今日も見覚えのある門番さんたちがハナにかまってくれた。私たちも問題なく王都に入れたので王都の家に向かう。
「王都に家を買ってよかったね」
「そうだな」
移動の後で宿を探して歩くのは結構疲れるので小さくても住み慣れた家があるとほっとする。急ぐこともないので今日は王都の家でゆっくりすることになっている。
こちらの世界でメール代わりに飛ばすことが多い鳥型の魔道具でクラリッサとエステルと遠野と巽に王都に来たことを知らせた。
都市をまたいで届けてくれる魔道具は高価になるが王都内のやり取りなら3つで100シル程度の物で充分だし、小鳥が手元まで飛んで来てくれるので可愛いからお気に入りだ。
魔道具を飛ばしてハナと遊んでいたら小鳥型の魔道具が飛んできた。
「クラリッサからだ!」
小鳥が手の中で手紙になった。開くとハナが一緒に覗き込んできた。
「今夜ヘンリクさんのお店で集まろうって、アルバロとハナはいい?」
「いくー!」
大喜びのハナが抱きついてきたのでモフモフしてやった。レーションの件で王都に行くとあらかじめクラリッサに伝えてあったので集まろうと相談してくれていたようだ。
「今夜は別行動だな、俺たちは王都で食べ歩きしてくる」
「美味しいお店があるといいね」
「ああ、美味い店を見つけたら今度カナたちも連れて行ってやる」
父さんとリザも外食のようだ。
少しまったりした後、アルバロがいつものお散歩ダンジョンに転移させてくれたのでアルバロと一緒にハナのお散歩に行った。
夜にたくさん飲んで食べるつもりなので私もハナと一緒に走り回った。
「いっぱい走ったねー」
「そうだね」
「楽しかったねー」
「そうだね」
いつもより長いお散歩にハナがご機嫌で四つ足でスキップしている。今日は鉱物などが多くドロップして食べ物が少なかったけど満足してもらえたようで良かった。
「ハナ、練乳を複製してみんなのお土産にしようと思うんだけど」
「いいと思う!」
美味しいからみんなにも食べてほしいという。うちのハナちゃんは今日も天使だな。温室のフルーツと一緒に渡そう。




