第322話 チーズ料理
練乳クリームパンを食べ終えて一息ついたところで父さんとリザにドロップ品を渡すことにした。
「中級ダンジョンに行っていたのか」
「たのしかったよ!」
ロチャのダンジョンを選んだ理由はハナを楽しませたかったから大成功だ。
「良かったな!」
父さんがハナを撫で回す。
「ドロップ品のチーズをお裾分けね」
モッツァレラ、ブリー、カマンベール、ラクレット、パルミジャーノ・レッジャーノ、チェダー、ゴーダ、マスカルポーネ、トム・フレッシュ、ロックフォール、ペコリーノ・ロマーノ、リコッタ、ブッラータ、フェタ、エダム、モン・ドールを並べる。
「凄いな!美味いチーズばかりじゃないか」
「でしょう〜」
「ハナが頑張ってくれたんだよ」
「ありがとな、ハナちゃん」
「凄いです」
今度はリザにもみくちゃにされている。
「マスカルポーネはお菓子向きだからカナが持っとけ」
「そう?」
ありがたく収納した。今度ティラミスでも作ろう。
「今日はこのチーズでチーズハンバーグを作ってやる!」
「うれしー!」
チーズハンバーグはハナの大好物だ。
「じゃあ私はトム・フレッシュでアリゴを作るよ」
フランスの製菓学校に通っていた頃に現地で食べて大好きになったチーズ入りのマッシュポテトだ。
事前準備としてトム・フレッシュをチーズおろしでたっぷりおろしておく。
皮をむいたじゃがいもを適当な大きさにカットして、柔らかくなるまで茹でる。
熱いうちに裏ごしする。熱いけど頑張る…。裏ごしできたら鍋に移して、塩と生クリームを加えてよく混ぜる。弱火で温めながらトム・フレッシュを加えて温めながら混ぜ合わせる。
滑らかになって、木べらで持ち上げて伸びるようになったら出来上がりだ。普通は鍋を押さえる人と混ぜる人、2人がかりで練るけどハイヒューマンの腕力があれば1人でできる。
滑らかになったらアイテムボックスに収納しておく。熱々が美味しいからね!
アリゴは野菜にかけて食べるのでニンジンとブロッコリーとヤングコーンを茹でる。ハナが苦手な野菜ばかりなのでソーセージも用意した。
使った器具を片付けて、足元でフンフンしているハナを抱き上げる。
「お腹すいたのよ」
「もう少し待っててね」
「うん」
ハナを乗用ロディに乗せて揺らしてやっていると父さんも出来上がったようだ。
「出来たぞ」
「ハンバーグ!」
興奮するハナをアルバロに任せて盛り付けに参加する。
「付け合わせの温野菜とアリゴね」
アイテムボックスから鍋を出すと父さんが盛り付けてくれた。
「お待たせハナちゃん」
ハンバーグがじゅうじゅう音を立てている。お皿も温めてくれていて最高だ。
「温野菜にアリゴをかけるよ。ハナは温野菜の代わりにソーセージね」
「うん!」
お鍋から、とろ〜っと垂らす。
「このくらい?」
「ありがと!」
みんなのお皿にも、とろ〜っとした。
父さんは今日のハンバーグを少し小ぶりに作ってくれた。チェダーを乗せたハンバーグが1つ、モッツァレラを乗せたハンバーグが1つ。リザにはたくさん。白っぽいチーズとオレンジ色のチーズで色も綺麗だ。
「いただきまーす」
「ます!」
ハンバーグの上のチーズが分厚くてトロトロだ。ハンバーグもチーズも美味しい。
「アリゴって美味しいね!すっごく伸びる」
「気に入った?」
「うん」
アルバロがアリゴをフォークで持ち上げて伸ばして喜んでいる。ハナもパクパク食べているので近いうちにまた作ろう。
ダンジョンは楽しかったしドロップ品も良いものばかりだったし、実に良い休暇だった。




