表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
320/331

第319話 ロチャの中級ダンジョン

 食後の腹ごなしを兼ねて市場を歩いてみたら商品も豊富で活気があって楽しい雰囲気の市場だった。


「ダンジョンでドロップするアイテムが豊かなんだね」

「そうなんだよ。小麦やトウモロコシ、肉や牛乳やバター、チーズ、毛皮や羽毛みたいな普通のアイテムばかりだけどチーズの種類もいろいろあるし生活に必要な物は全部揃うよ」


「チーズ!」

ペットスリングの中のハナが反応した。


「早くいこうよ!」

「そうだね。アルバロ、ダンジョンはこの方向でいいの?」

「そろそろ見えてくるよ」


 人の流れに合わせて歩いていたら間もなくダンジョン入り口が見えてきた。


「ここのダンジョンは塔タイプなんだ。下から上に上がっていって最上階は18階」


 ダンジョンに入場する列に並びながらアルバロが説明してくれる。1フロアはそんなに広くないのでサッと一周したら次のフロアに移動しようと相談がまとまった。


「ハナが特に気に入ったフロアがあれば何周かしようか、チーズや牛乳がドロップするのは8階から14階だよ。フロアによってチーズの種類が変わるからね」

「うん!」


 アルバロがハナをペットスリングから抱き上げたのでペットスリングをアイテムボックスに収納した。




 アルバロがハナにデレデレしている姿を見ていたら順番が回ってきた。


「ロチャのダンジョンへようこそ!」

「こんにちは」

「ギルドカードの提示をお願いします」


「この子は私のパートナーです。ハナ、魔力を流して」

「うん!」

 ギルドカードに魔力を流したハナがドヤ顔でダンジョンの職員さんを見上げる。


「すっごく可愛いね!」

「えへへー」

「でも強いんだね」

「皆さん問題ありません。お気をつけて!」


「ありがとう」

「行ってきます」

 アルバロがハナを降ろすとハナが元気よく駆け出した。




ダンジョンの中は草原だった。

「ロチャは全フロアが草原なんだ」

「魔物はフラミンゴ、バッファロー、ジャイアントカワウソ、キラーディアー、ヒプノティズムシープだっけ?」


「6階までの低層階はフラミンゴとか鳥の魔物やジャイアントカワウソとかモズクガニとかがポップするんだ」

 羽毛や毛皮のほか、川魚や蟹や海老や貝がドロップするらしい。


「じゃあささっと通過しようか」

「うん」

 ハナの目当てがチーズなので低層階を最短で進んだ。



「8階のセイフティゾーンで休憩しようよ」

 ハッハ、ハッハ言い出したハナを捕獲して提案した。

「ハナまだ大丈夫!」

「休憩しよう」


 アルバロが賛成してくれたので問答無用でハナをセイフティゾーンへ連行した。



 今まで見たセイフティゾーンの中で1番広かったし冒険者達で賑わっていた。


「すっごく広いね!」

「人気のダンジョンだからね」


 人が集まるに従って調整しているらしい。水場も広くてゆったり使えそうだ。アルバロと一緒に手を洗ってから空いている場所にシートを広げた。


「ハナ」

 呼んだら大人しく来てくれたので浄化した。

「…シュワシュワするのよ」

 ハナは全身の浄化があまり好きではないけど受け入れている。

「きれいにすると可愛いよ」

ちょっと嬉しそうだ。


「僕がお茶を淹れるよ。ハナは何がいい?」

「牛乳!」

 アルバロが簡易コンロでお湯を沸かしてくれたので私がハナの牛乳を注いで渡す。

「ありがと」


「カナ」

「ありがとう」

 ハナが牛乳を飲む様子を見守っていたらアルバロがお茶を渡してくれた。


「何か甘いものでも食べる?バームクーヘンがあるよ」

「食べる!」

 アルバロとハナがハモったのでカットしておいたバームクーヘンを出した。



「美味しいねー」

「ねー」

 今日もアルバロとハナが仲良しで何よりだ。私も食べながら周りを見渡した。

 本格的に料理をしているパーティーもいれば、眠っているパーティーもいる。のぼりを立てて有料で浄化や治癒を請け負っているエルフまでいた。


「ここは本当に栄えているダンジョンなんだね」

「でしょ!」

 なぜかアルバロが得意顔だ。



 食べながらこの後のスケジュールをアルバロと相談した。夕方までダンジョンを攻略して、人気ひとけのない場所からこっそり帰ることになった。養殖している魚達に餌をやって私達も我が家で休む。お風呂とお布団で体力を回復させるのだ。


 そんな相談をしていたらハナが手を振っていた。


「ハナ?」

 ハナの目線を追うと少し離れた場所のパーティー達が口々に「クマちゃんが可愛い」と盛り上がっていた。


── ハナがモテモテのモテ体質だ。


 こんなにモテたこと無いし、アイドルのように手を振って愛想を振りまくなんて、とても真似出来ない…ハナが眩しかった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ