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第311話 チョコレート作り

 今日はハナとアルバロに見守られながらチョコレートの試作をする。


「これがアルバロの魔道具ですり潰したカカオニブ。トロトロでなめらかになったね」


 まる1日かけてすり潰したもの、2日、3日と3種類用意した。食べ比べて美味しい状態を探すのだ。


「カカオ分70%のチョコレートを作る場合、このカカオニブを基準に計算するよ」


 今回は全部40gずつ用意できたので、それぞれに17gの砂糖を加える。計算が面倒な場合、カカオニブの半分の重量でもいいかも。改めて計算してみると、その砂糖の割合に戦慄するけど。今回は粉糖を加えた。なんとなく混ざりやすい気がしたから。

 砂糖と一緒に粉砕しておいたカカオバターを14gずつ混ぜた。カカオバターはカカオ豆から絞り出した油分のことだ。


 …チョコレートって砂糖と油の塊なんだな。ちょっと遠い目になってしまった。


「ここでもう一度魔道具に入れて2日くらい練るよ」


 魔道具にセットしたら、もうできることはない。


「待ってばっかりね…」

ハナの機嫌が急降下だ。


「チョコレートは手作りよりも買う方が楽だよね」

「待ってよ、すごく美味しいチョコができるかもしれないじゃん」

 アルバロこの世界のカカオ豆でチョコレートを作ることを諦めないようだ。


「そうだね、カカオ豆は産地によって風味が違って美味しいって聞くから楽しみだね」



 いつも通り家庭菜園や養殖している魚の世話をしたり、ダンジョンでハナの散歩をしたり、いつも通り過ごした。



「さて、今日はいよいよ仕上げます」

 今日もハナとアルバロに見守られながら作業だ。


「魔道具から取り出してテンパリングします」


 テンパリングは、チョコレートの油分の結晶を安定化させる工程だ。


「次はテンパリングが済んだチョコレートを型に入れて常温で冷やします」

「早く冷やして食べようよ!」

アルバロがせっかちだ。


「常温で冷ました方が風味が良くなるんだって、ここまで待ったんだからちゃんと作ろうよ」

 ハナとアルバロがしょんぼりだ。気分下げ下げな2人を苦労して散歩に連れ出した。




 いつもの3倍くらいかけた長めの散歩から帰るとチョコレートが冷えて固まっていた。



「食べていい!?」

「ハナも食べたい!」

「はいはい、食べ比べだから準備しようね」


召喚カカオのすり潰し1日、2日、3日。

アルバロ産カカオのすり潰し1日、2日、3日。


状態を書いた紙の上にチョコレートを乗せた小皿を置く。


「本当はここからさらに数日、熟成させるんだって」

 アルバロとハナが絶対に待たないという表情になった。


「好きな順番で食べ比べしてみて」


「いただきます!」

「ます!」


 2人ともアルバロ産カカオのすり潰し3日を手に取った。


ハナとアルバロのもぐもぐタイム。



「美味しくなくはないんだけど…」

「カナちゃんがいつも買ってくれるチョコのほうがおいしー…」


私も同じものを試食してみる。


「うん。なめらかに出来ているけど風味が足りないかな」

「あんなに待ったのに」

アルバロの落胆ぶりがすごい。


「職人が何世代にも渡って美味しくなるよう改良を重ねてきたんだよ」

「…そうだね、安易にチョコが欲しいなんて言っちゃいけなかったね」


「カカオ豆は自然に見つけられるのを待つの?」

「そうするよ。鑑定スキル持ちが鑑定した時に血圧低下と動脈硬化予防、老化防止が表示されるようにはしておく」



 いつか誰かが美味しいチョコレートを作ることは諦めていないようだ。

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