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第309話 やる気のアルバロ

「おいしー」

「良かったね」


 約束通り今日の朝食はバゲットのフレンチトーストだ。温室の苺やブルーベリーなども盛り付けた。食べながらチョコレート作りの相談をしよう。



「ねえアルバロ」

「なに?」

「父さんとリザが戻ったらカカオの加工をしたいんだけど、手作業だと途轍とてつもない手間と時間がかかるんだ」

「そうなの?」



 父さんとリザが帰ったら、持ち帰ってくれたカカオ豆を全部アイテムボックスに収納して良質なカカオ豆だけを取り出す。

 次に良質なカカオ豆をローストする。ローストしたカカオ豆を再びアイテムボックスに収納してカカオニブだけ取り出す。殻はいらない。この選別をアイテムボックスで自動化できるのは本当にありがたい。



「問題は次の工程なの。液状になるまで電動ミルでカカオニブをひく工程。なめらかなチョコレートを作るために重要なんだ」


「なめらかなチョコって美味しいよねー」

「ねー」

アルバロとハナの意見が一致した。


「美味しいチョコレート専門店の場合、数日かけてすり潰すって聞くよ」


アルバロとハナがまん丸い目で私をみてる。



「この工程って家庭では無理でしょう?しかも家庭用の電動ミルは連続で回すことができないの。数日どころか2〜3分回したら1分休んで…って感じだから」


 アルバロとハナがまだ固まっている。


「このすり潰す工程を魔道具で作れないかな?」

「美味しいチョコ作りに欠かせない工程だよね、やろう」


「アルバロがんばって」

「うん」

 アルバロとハナが手を握りあっている。超仲良しだ。


「この他に必要な魔道具はある?」

「同じ魔道具を使えると思う。カカオニブにカカオバターと砂糖を混ぜて練るの。1日以上」


 もう一度アルバロとハナの目がまん丸になった。


「あとでカカオ豆を召喚(インターネット通販)して試作してみようよ」

「分かった」


「朝ごはんの後はいつも通り、養殖の魚たちに餌をやって家庭菜園と温室の世話もするからね」

「分かったよ…」


 アルバロとハナが残念そうだけどいつもの作業は休めない。まずは養殖している魚たちに餌をやって回った。


「かわいー」

 ウニがキャベツを食べる様子はハナのお気に入りなので3人で一緒に眺めた。次に家庭菜園で小松菜とニラを、温室で柑橘類を収穫した。


「終わり?」

「そうだよ、午後はカカオ豆の試作をしようね」

「やったあ!」

喜ぶハナが可愛い。




「さて。やろうか」

 カウンターキッチンの反対側の椅子にハナを座らせてアルバロと一緒にキッチンに立つ。


 良質なカカオ豆をローストするところまでは一気にできた。


「ここからはアルバロにお願いしてもいい?」

「もちろんだよ!まずは電動ミルを取り寄せようよ。こっちの世界に召喚したら自動的に魔道具化するから」

「それをアルバロが改良するの?」

「合理的でしょ?」

「そうだね」



どすん!


 電動ミルが届いた。段ボールを開封してみるとプラスチック部分がガラスになって金属部分もやたら重たい。しかも全体的に巨大化している。


「これの耐久性を上げればいいの?」

「早く粒子が細かくなれば回す時間は短くて済むかな」

「オッケー!」




「…ふう」

 アルバロが頑張った。何をどうしたのかよく分からないけど、やりきった顔をしている。


「じゃあカカオ豆を入れてみようか」

 アルバロが蓋を開けてくれたのでローストしたカカオニブを入れた。


「こうやって蓋をして、ここを押す」


ガーーーーっと回りはじめた。


「このまま1日くらい待てばいいの?途中で止めて魔道具を休ませなくて大丈夫?」

「大丈夫!明日までこのまま置いておこう」




「楽しくない〜」


 作業をみていたハナがグズった。豆をオーブンでローストして魔道具に入れただけなので面白い要素は一つもない。



 グズるハナをなだめ、ハナに見守られながら家庭菜園で収穫したニラを使って夕飯の餃子を作ったら機嫌がなおった。

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