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第308話 カカオ

 今年のバレンタインはちゃんとしたものを作ると決めた。地球の習慣だから、どうせアルバロはバレンタインを知らないだろうと去年はやる気が無さすぎて申し訳なかった。



 甘さ控えめのザッハトルテとチョコレートプリン、生チョコを作ることにした。プリンはハナの大好物だし、アルバロ好みのこってりしたケーキはなんだろうと考えてザッハトルテを作ると決めた。




「どうせなら、この世界で採取したカカオで作りたいけどねえ」

「まだ誰にも収穫されたことが無いんだったか?」


 今日は養殖しているお魚で父さんたちと一緒に手巻き寿司だ。ハナのサーモン寿司を巻きながらカカオの収穫は遠そうだと父さんと会話した。



「ダンジョンで収穫しようよ!」

「ダメだよアルバロ」

「どうしてさ?せっかくダンジョンにカカオ豆をやしたのに、まだ誰にも収穫されていないんだよ。鑑定の説明欄に産地や栽培に適した環境やレシピもつけたのに。板チョコもレアドロップするんだよ」


「平均気温が高い高温多湿のダンジョンでしょう?ハナが熱射病になっちゃう」


「暑いのやだ…」

 さっきまでチョコ!とご機嫌だったハナの表情が曇る。


「そっか…そうだね。ごめんよハナ」

「いいのよ」

 申し訳なさそうなアルバロに横からハナが甘えるように寄りかかる。カカオの生育に適した気候は毛皮をまとったハナが耐えられない。



「リオ様?」

「そうだな!」

「私たちが行ってきます!」

「アルバロ、後で詳しく教えてくれな」

「いいの?ありがとう!」



 食後、ちゃぶ台にこの世界の地図を広げた。



「秘境がこの辺り、王都がここ」

「ふむふむ」

「海に向かって進むと大きめの島があるんだ」

「ここに人は住んでいないんだよね?」

「そう。人間や主な動物は温暖で肥沃な土地に集中させているんだ。渡り鳥や熱帯を好む動物は住んでいるけど」


「ここは新婚旅行で行きましたね」

「そうだったな!」


 父さんは新婚旅行は南国という思い込みがあるらしくリザとの旅行も暖かい地域を広く回ったらしい。


「今は冬だけど海上は荒れていない?リザは大丈夫?」

「問題ありません。季節を問わず散歩がてら何度も渡ったことがあります」

「そうなんだ」


「ダンジョンの場所はこの辺り。目印は巨大な熱帯の木」

「…たぶん見たことがあると思います」


「リザの想像通りだと思うよ。その木を見つけたらリオが鑑定してみるといいよ。鑑定の説明文で入り口とか、何階あるか、それぞれの階に出現するモンスター情報やドロップ品なんかの情報を閲覧できるようにしておくね!あ、マッピングスキルの表示もサービスしておくね」


 アルバロが張り切り過ぎだ。オタクのような早口でリザがちょっと引いてる。



「熱帯タイプのダンジョンだよね、けっこう辛いんじゃない」

「リオとリザのスキルに冷却魔法を追加したから!自分の周囲だけ快適な温度に設定できるから!」


アルバロが必死過ぎる。



「心配するなって!」

「アルバロさんが欲しいものを持ち帰りますね」

「せっかくだから2人でゆっくりしてきなよ。移動も疲れるだろうし、初めてのダンジョンだから慎重にね」

「分かった分かった」

「新婚旅行で行ったフルーツの産地にも立ち寄りたいです」

「そうするか」

「何日かかけてゆっくりしてきてよ。1日1回連絡してね」



 ちょっとした新婚旅行みたいだ。せっかくだから楽しんできてくれ。

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