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第305話 ポンチキ

「ねえ、これはどう?」


 ハナが父さんとリザの家に遊びに行っている間にアルバロに相談した。


「いいじゃん!!」

「室内用だし、目が届くところに置かないと危ないよね。でもこたつの部屋に置くにはちょっと大きいかも」

「じゃあ部屋の大きさを変えようよ」

「そんなこと出来るの!?」

「まあね!」

「それなら、もっと大きいのでも良い?」


アルバロに候補を見せた。

「良いじゃん!絶対に可愛いよ!!」



 鼻息の荒いアルバロがノリノリで部屋を広くしてくれたので召喚魔法(インターネット通販)で子供用の室内すべり台を買った。アルバロが賛成してくれたので、すべり台と小さなジャングルジムとブランコと鉄棒が一つになった室内用遊具だ。



どすん!


 巨大な段ボールが届いたのでアルバロと一緒に組み立てた。


「地球ではプラスチック製だけど木製に変換されてるね」

 その分パーツが重たいけどハイヒューマンになったので軽々と扱える。


「これで組み上がったかな。設置してみようか」

「ちょっと待って、落ちても痛くないようにマットを敷こうよ」

「賛成だよ!」


 2人でちょっとお高いマットを選んだ。揃って親バカな自覚はある。



どすん!


 段ボールでマットが届いたので2人で敷いた。


「じゃあ設置しようか」

 2人で軽々と持ち上げてマットの上に置いた。その後、マットと部屋のバランスをアルバロが整えてくれた。こんなに便利なリフォームがあるなんて…神様ってすごい。



組み上がった遊具を2人で眺める。

「これは絶対に可愛いと思うの」

「僕も想像だけでたまらないよ」

ハナが帰ってくるのが楽しみだ。


「早く帰ってこないかな…」

 アルバロがハナを迎えに行きそうだけど父さんとリザもハナと過ごす時間を楽しみにしてくれているので引きとめたい。


「おやつにポンチキを作ろうよ」

「ポンチキ?」

「小麦粉、卵黄、イースト、ウォッカを加えて発酵させた生地にジャムを入れたドーナツみたいなスイーツだよ」

「なにそれ美味しそう!」


 ちょっとジャムを作りすぎたのでせっせと消費している。作りすぎないように気をつけていたけれど種類を多く作ったため全体量が多かった。

 この間エピファニータルトを作ったし朝食で食べているけど、美味しいうちに食べきりたい。


「じゃあ材料を計って混ぜてね!」

 小麦粉、塩、卵黄、砂糖、バター、温めた牛乳とドライイーストを計る。


「卵黄が8個!?多くない?」

「そう。だからリッチで美味しい生地になるんだ」

「へえー!楽しみ」


「全部を混ぜるよ!ウォッカの代わりにバニラエッセンスもね」

 本場ではウォッカを入れるらしいけどハナがお酒の匂いを嫌うので今回はやめた。バニラエッセンスで香り付けしているので充分だろう。以前作った時は余っていたズブロッカを入れたけど普通に美味しくできた。仕事の時はレシピを守るけど自分用に作る時は割と自由にやっている。


「生地を寝かせるよ。その間に中に入れるジャムを選ぼうよ」

「ベリーがいいな!」

「ベリー?ストロベリーとブルーベリーの2種類にする?カッテージチーズのフィリングも作ろうか、卵とバニラシュガーで甘くして」

「美味しそう!」


 カッテージチーズと溶き卵とバニラシュガーを滑らかになるまで混ぜるだけの簡単なフィリングだ。混ぜるのはアルバロがやってくれた。


「そろそろ生地もいいかな」

 いい感じに膨らんでいたので2人で成形した。アルバロ用に大きく、ハナのために小さく作った。アルバロがたくさん食べたいと言うので多めに仕込んだし、アルバロ用の大きなサイズが40個も出来た。多いよ!


「全部包み終わったから揚げちゃおうか」

 アルバロが準備してくれたのでどんどん揚げ油に投入してゆく。使った道具は予洗いして魔道具と化した食洗機に任せる。


「いい色に揚がったね」

揚がったものから油を切る。


「全部揚がったね、粉糖でお化粧するよ」

「この一手間で美味しくなるし、綺麗だよね」

 甘いもの好きなアルバロらしいコメントだ。ハナが帰ってくると危ないので揚げ油を片づけたところで気配がした。



「ただいまー!」

 ちょうど良いタイミングでハナが帰ってきた。


「甘いにおいー」

 後ろ足で立ち上がったハナがスパターン!と勢いよく(ふすま)を開けた。



「おかえり、アルバロと一緒に作ったんだよ。すぐ食べる?」

「たべる!」


 アルバロと私は紅茶、ハナには牛乳を用意した。

「ハナには小さく作ったよ、これがストロベリーでこっちがブルーベリー、こっちはチーズクリームね」

「ありがと!カナちゃん」


 ハナの手を浄化しながら説明した。鑑定魔法って本当に便利だ。見た目をそっくりに作っても肉まん、あんまん、ピザまん、角煮まんなどを割らずに判別出来る。今日も中身のジャムをバッチリ鑑定してやった。


「おいしー!」

「気に入った?」

「うん。ジャムがないとこもおいしー」

「生地に卵黄を贅沢に使ったんだよ」

「また作って!」

「たくさん作ったから明日の朝食で食べようよ」

「ほんと?アルバロ」

「ハナと一緒に食べたくてたくさん作ったんだよ」

「うれしー!ありがとアルバロ」



 アルバロとハナが盛り上がっている間に私も一口…うん、美味しく出来た。

 美味しいものを作る時にカロリーやコレステロールを気にせず思い切って素材を投入すると美味しくできると思う。…あとでお散歩ダンジョンで運動するからと自分に言い訳しつつ、もう一つ食べた。ポンチキは美味しい。

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