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第300話 父さんのどんぶり勘定

 今日は全員で織物が盛んなドス・グラントに来た。


 ドス・グラントは冒険者ギルドにネルソンさんがいて、錬金ギルドにはギルドマスターで熊の獣人のマルコスさんがいる。


 試作した布を持ち帰ったら父さんとリザにも好評だったので家族全員分のブランケットを作った。

 その後、アルバロが普通の布と毛織物、皮と毛織物をガッチャンコする魔方陣を作ってくれた。アルバロが作ってくれる横で見ていたら詳しく説明してくれたので魔方陣に対する理解が深まった気がする。いつか1人で作れるようになりたい。



 今日は錬金ギルドで裏起毛の仕組みを買ってもらえるなら売るし、特に需要がなければ作った布だけ売ろうかという話になって全員でドス・グラントに来た。




「すっごく寒いね…」


 ドス・グラントに入るため並んでいる。順番が近づいてきたので馬車から降りたら、もの凄く寒い。当然ハナはペットスリングの中だし、ペットスリングの上からプランプリー・ゴートの裏起毛で作ったマントを着込んでいる。

 プランプリー・ゴートの毛で作った裏起毛は保温性が高いし手触りが滑らかなので中に入ったハナがご機嫌だ。



「次の方ー」

「お待たせしましたー」


「お、俺たちだ!」

「はーい」



 ギルドカードを出して魔力を通して見せる。これがこの世界の本人確認だ。


「ハナ、出ておいで。ギルドカードに魔力を流して」

 少しだけ前を開けたら、ハナがブルっと震えながら顔の中心と右手を出した。急いで魔力を流してサッと手を引っ込めて可愛い。



「クマちゃんは寒がりだね」

 門番さんたちがクスクス笑っている。


「もともと温暖な地域に生息しているウルサスなんです。今回は私の都合で寒い場所に連れて来ちゃって…」

「俺たちと一緒に待っていようと言ったんだがな。娘と一緒に行くと言い張るから仕方ないんだ」


「ああー、お留守番はかわいそうだなあ」

「はい、本人確認できました。どうぞドス・グラントの滞在をお楽しみください」


「ありがとうございます」

 マントの中にハナを抱えたままドス・グラントに入った。


「いったん市場に行って何か飲もう」

「いいですね!私は小腹も空きました」



 市場に入ったら、いったん別行動することになった。私たちが全員分の暖かい飲み物を買って、父さんとリザがリザの小腹満たし用に大量の肉を買って、空いているテーブルに集まった。


「ハナにはアイテムボックスのホットミルクを出そうか?」

『うん』

マントの中から声がする。


「はちみつ入りホットミルクにしようね」

『ありがとー』

「さあ、どうぞ」

 出してやったけど自分から出てこない。マントの前を少し開けて促すと鼻先だけ出すのでカップを口元で傾けてやると上手に飲んだ。


 軟弱で可愛い…。父さんとリザとアルバロもハナを見る目が優しい。




「それにしても寒いな!」

「うん……あのさ、門番さんたち、きっと毎日すごく寒いよね」

「そうだなあ、動かないから余計に寒いだろうな」


「プランプリー・ゴートの毛は無理だけど、他の動物の毛で作っても暖かいじゃん?布だけじゃなく、なめした皮と毛もガッチャンコできるようになったじゃない?」


 乱獲を恐れてプランプリー・ゴートの毛は秘密にすることにした。あの寒い地域でプランプリー・ゴートの毛を刈ったら寒さで弱ってしまうし弱い個体は死んでしまうだろう。


 皮とも合わせたいと言ったら試行錯誤の末にアルバロがいい感じにしてくれた。裏起毛の布は接着面も柔らかくて扱いやすく、服にしても着心地が良い。裏起毛の皮は防寒用ブーツに最適だ。もちろん思い描いたのは有名な、もこもこブーツだ。


「門番さんとか旅人向けに買いやすい価格で提供出来ないかなあ」

「いいんじゃないか。必需品は安く、贅沢品として欲しがる金持ちからは多めにとってやるよう提案してみよう」


「そういう場合、どのくらいになるのかな…」

「500%くらい取ったらいいんじゃないか!」



 高すぎ!…父さんは富裕層に何か恨みでもあるのだろうか。

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