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第298話 プランプリー・ゴート

「さーむーいぃぃぃ…!」


 プランプリー・ゴートを捕獲するために最北端に来た。寒い……ものすごく寒い…。車が通れるような地形ではないので徒歩だ。

 一緒に行くと言い張ったハナはペットスリングの中に頭まですっぽり入って出てこない。ちなみにペットスリングの上から大きいサイズのダウンを着ており、ハナは外気に触れていない。



「早く捕まえて帰ろうよ…」

「そうしようか」

「ハナ、苦しかったら合図してね」

『わかった』


 マッピングスキルを起動してみると山羊アイコンがぴこぴこしているのでアルバロと並んで走った。未舗装路を走る感じがトレイルランニングみたいだ。それにしては地形が厳しいし距離があるのでハイ・ヒューマンの体力と身体能力がありがたい。



「近い?」

「うん、風下に回るよ」

 アルバロに先導され、音を立てず気配を殺して近づく。ハナはおとなしく抱っこされている。


 目で合図を出し合って2人で歌舞伎の蜘蛛の糸のように、手から網を投げた。



「捕まえられたね!…鑑定」


 プランプリー・ゴートだった。怪我もないし状態異常もない。捕獲する時に怪我をさせないか心配だったので問題無しでほっとした。



「僕に任せて」


 アルバロがプランプリー・ゴートの群れから1匹ずつ魔法で毛を刈って、すぐに毛を再生させる。この寒さの中で毛を刈りっぱなしにする訳はいかないので、アルバロの力に頼ることにしたのだ。

 毛を刈られたプランプリー・ゴートは刈る前と比較してびっくりするくらい小さかった。


 アルバロが刈った毛を私が浄化してアイテムボックスに収納する。1匹から高品質な毛が大量にとれて最高だ。



「この子で最後」

 小さな群れだったので1時間もかからなかった。


「みんなありがとう、びっくりさせてごめんね」


 群れを解放すると揃って逃げて行ったのでお礼に寒冷地でも育つ牧草を植えた。牧草を植えるのは、群れを探して走るよりも毛を刈るよりも重労働だったけど、動いているので寒さは感じなかった。ただちょっと胸に抱えたハナを潰してしまうくらいだ。時々グエっと声がするので謝りながらポンポンすると中から『いいのよ』と返事が聞こえる。



「こんなもんかな?」

「充分だよ!じゃあ帰ろうか」


 アルバロが帰還の魔方陣を展開してくれて一瞬で我が家だ。



 自分たちを浄化してダウンを脱ぐとハナがペットスリングから顔を出した。


「さむかったね!」

「…ハナも寒かったの?」

「うん」


軟弱過ぎて可愛いな!

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