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第294話 運動不足解消のために

「ふう、お腹いっぱい」

 ハナがお腹をさすりながらもたれてきた。


「すき焼きもしゃぶしゃぶも美味しいお肉だったね」

「うん」

 甘えてくるので抱き寄せてモフモフした。


「ハナ今日は寝ない!」

 一緒に深夜のカウントダウンをしたいようだ。…多分無理なので生暖かい目でみてしまう。

「うんうん。できるだけ頑張ってみようか」



 まだ元気なハナがテュールさんやトールさんに突進しては転がされている。まんまるになって、でんぐり返しするハナが可愛い。


「ちょっとハアハアしてきたかな、ハナお水飲んで」

「うん」

 素直に戻ってくれてお水を飲む姿が可愛い。


「…そうだ。クリスマスプレゼントを忘れてた」

「なあに?」

「これこれ」


 膨らませてアイテムボックスに入れておいた乗用ロディを出した。イタリア製のカラフルな木馬みたいなアレだ。色はハナの好きなピンクにした。


「冬の間は運動不足になりがちだからね。バランスボールの製造技術を用いて作られた有名な乗用玩具なんだって。またがって遊びながら運動神経やバランス感覚を養うんだって」


 ハナをひょいっと持ち上げてまたがらせてやると可愛い。揺らしてやると父さんとリザとアルバロとテュールさんとトールさんが真っ赤になって崩れ落ちた。


「たのしー!」

「気に入った?」

「うん」

 自分でゆらゆらと楽しんでいる。



「すっごく可愛いぞ…」

「これは可愛い過ぎるよ…」

 鼻を押さえながら父さんたちがクネクネしている。


「絶対に可愛いと思ったんだよねー」

「間違いなく今年1番の買い物だな!これを買おうと思いついたカナも偉いぞ」


なぜか賞賛された。



 しばらく全員で遊ぶハナを眺めていたが格闘技番組が始まったのでテュールさんとトールさんがテレビに集中した。ちゃぶ台の上を片付けて熱燗やサングリアを出して大人の時間だ。


「ハナは蜂蜜酒?」

「うん!」

「ソーダで割る?リンゴジュースで割る?」

「リンゴジュース!」

「はいはい」

 蜂蜜酒はほんのちょっぴりで、ほぼリンゴジュースだ。

「サングリアみたいにフルーツを入れる?」

「入れて!」

 小さくカットしたりんごや桃を浮かべてやる。

「はい、どうぞ」

「ありがとー!」


 一緒に飲んでいる気分になってくれるから可愛い。


「大晦日ってたのしーね」

「良かったね」


 ハナはこの1時間後に寝落ちしたのでテュールさんとトールさんを父さんたちに任せて客室に引っ込んだ。


 ベッドにハナを寝かせるとアルバロが来た。


「あれ?テレビは?」

「リオが残ったよ。リザももう寝るって。あの様子じゃ3人で朝まで呑んでるかも」

「そっか」

「ハナには僕がついてるからカナは温泉に入ってきたら?朝からご馳走の準備で疲れたでしょう」

「いいの?ありがとう」



 遠慮なく女湯に向かうとリザに会ったので2人で温泉を堪能した。お節もお雑煮も準備が済んでいるから明日の朝は思い思いの時間に起きて自由にしようと話した。


 髪を乾かしてミネラルウォーターをごくごく飲みながら部屋に戻るとアルバロがハナの寝顔にデレデレだった。


「ありがとうアルバロ」

「おかえり、もういいの」

「うん。ハナは?」

「一度寝ぼけて起きちゃったからトイレに連れて行ってしっこさせたよ」

「ありがとう、それなら朝までぐっすりだね」

「カナも湯冷めしないうちに寝ちゃいなよ。僕も温泉に行ってくる」

「ありがとう、ハナの寝顔が可愛いねえ」



 ハナの隣に潜り込むとハナが寝ぼけながら擦り寄ってきて、猛烈に可愛いなと思いながら寝た。

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