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第287話 アドベントカレンダー

「カナー!」

「はーい」


 今日は父さんとリザが遊びに来ている。2人にモフられるハナを眺めていたらアルバロに呼ばれた。なんだろう?



「何か届いているよ」


「…そうだった!」

 段ボールをめりめり開けると厚紙で出来た洋風の家が出てきた。


「カナちゃん、それなあに?」

首を傾げるハナが可愛い。


「これはアドベントカレンダー。クリスマスまで1日ずつカウントダウンするカレンダーだよ」


 12月1日~24日までを数えるものが一般的で、箱や小窓の中にお菓子やおもちゃなどが入っている。毎日ひとつずつ開いて楽しみながらクリスマスを迎えるのだ。


 お菓子が入っているアドベントカレンダーや小さなおもちゃが入っているアドベントカレンダーが一般的だけど、コスメが入っているのもある。

 過去に自分用にポール&ジョー、ロクシタン、ディオールのアドベントカレンダーを買ったことがある。けっこう良いお値段だったけど入っているものが自分好みのものばかりで満足感が凄かった。

 フランスで製菓学校に通っていた時のルームメイトはLEGOのアドベントカレンダーを買っていた。確かに可愛いくてルームメイトが子供の子から毎年買っていると言うのも納得だった。


「これはハナとアルバロの分ね。クズさんと応ちゃんの分も取り寄せたよ」

全員同じスイスのチョコレートメーカーのアドベントカレンダーだ。


「ありがとカナちゃん」

「12月1日になったらこの窓を開いてね」

「うん!」

 ハナもアルバロもアドベントカレンダーが何か分かっていないので冷静だ。中身がチョコレートだと知ったら“待てない!食べる!”と大騒ぎだろう。



「…… 作るか」

リオがつぶやいた。


「父さん?何を作るの」

「リザのためににリザが喜ぶアドベントカレンダーを俺が作る」

「大きく作るの?けっこう大変そうだね」

 リザが大食いなので当然大きく作るのだろうと推測した。

「手伝ってくれ」

「いいよ」


 ハナとリザとアルバロを残して2人で作ることにした。小さめの段ボールを買って父さんとリザの家で組み立てて積み上げた。


「段ボールは色を塗って装飾しようよ。緑と赤でクリスマスっぽく。綿をふわふわさせて雪に見立てよう」

絵の具と綿を買うと床に新聞紙を敷いて父さんがどんどん色を塗り始めた。

「もみの木っぽいものを描けばいいよな?」

「いいじゃん!」

 大雑把な父さんが大雑把に描いてゆく。日付を書くとそれっぽくなってゆく。…私に絵心が無いのは父さんからの遺伝だ。



「じゃあ私が中身を調達するね」

 インターネット通販でビーフジャーキー、コンビーフや焼き鳥の缶詰、常温で保存できる真空パックのハムやソーセージなどの加工肉を買いまくった。


「常温で保存できる加工肉を24種類調達するのって難しいね」

「足りない分は任せろ」


 父さんが無地のグリーティングカードにチャーシューメン引換券、角煮引換券、ローストビーフ引換券などと書いてゆく。


「足りない分は引換券でいい。俺がインベントリから出す」

「いいね!じゃあ詰めていこうか」


中身を入れて段ボールに蓋をして完成だ。


「けっこう簡単に出来たね」

「ああ。リザは見た目よりも中身だからな。これで充分だ」


 ハナだったら見た目が可愛くないと拗ねるだろう。リザのこういうところが好きだ。


「そうだカナ」

「なに?」

「向こうの家の納戸にしまってあるクリスマスツリーな、そっちの家に飾るといい。ハナちゃんが楽しみにしてるだろう」

「いいの?父さんたちは」

「うちはクリスマス当日に肉があれば良い。ツリーはいらんよ」

「ありがとう。じゃあハナをお散歩ダンジョンに連れて行くついでにクリスマスツリーを取ってこようかな」

「畑の様子を見たいから俺たちも行く」



 アルバロと私とハナの家に戻るとリザにモフられたハナが溶けていた。




 久しぶりに全員でお散歩ダンジョンに行ったらハナが大はしゃぎだ。器用に四つ脚でスキップしている。


「パパとリザちゃんも一緒のお散歩ひさしぶり」


「ハナちゃん、右と左に分かれましょう」

「いいよ!」


 リザとハナがポップするそばから魔物を蹂躙するので父さんとアルバロと一緒にひたすらドロップ品を拾った。




「楽しかったー!」

「楽しかったですね」

ハナとリザが抱き合って大喜びだ。



 思いっきり動いて満足な2人と一緒に家庭菜園の野菜を収穫してからクリスマスツリーを持って帰った。


「俺たちで晩飯の支度をするからカナたちはツリーでも組み立ててろ」

「いいの?」

「ああ」

「ありがと!今日は何を作るの?」

「鍋焼きうどんだ。具沢山にするぞ」


 ハナとアルバロと一緒にクリスマスツリーを組み立てている間に父さんとリザが鍋焼きうどんを作ってくれた。



「飾りは充分かな?もっとキラキラさせる?」

「これでいい!」

 ハナが欲しがったピンク系の飾りを買い足したら喜んでくれた。けっこう綺麗に仕上がってアルバロと私も満足だ。




「ご飯ですよー!」

 出来上がったツリーを眺めていたらリザが呼びにきてくれた。


「蒲鉾、しいたけ、油揚げ、大きな海老の天ぷら、卵、ネギの鍋焼きうどんだ。熱いから気をつけてな」


「やった!美味しそう」

 鍋焼きうどんと予告されていたから、すっかりうどんの口になっていた。まずハナの器に冷ましながら盛り付けてやる。


「まだ熱いよ」

「うん」



 一生懸命ふーふーするハナが可愛いし、父さんの鍋焼きうどんが美味しくて今日も食べすぎた。

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