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第276話 気の合う3人

「酷いめにあった」

「俺もだ」


 人型ひとがたの応竜ちゃんとクズさんが我が家でドーナツを食べながらボヤく。

今日のドーナツはイーストで発酵させたパン屋さんみたいな、ふわふわドーナツだ。ふわふわの揚げたてドーナツに粉糖をたっぷりまぶしてある。


「注射と飲み薬を嫌がって暴れたんだって?」

 呆れ顔のアルバロがため息をついた。どこかで最近聞いたような話だ。


「注射なんて野蛮だ」

 応竜ちゃんの言葉にクズさんとハナがうなずく。息がぴったりだ。


「じゃあ薬を飲めば?」

「俺はグルメだから不味いものは受けつけないんだ」

 応竜ちゃんとハナがうなずく。


「残る治療法は座薬しか無かったんだ?」

「………屈辱だった…」

 クズさんと応竜ちゃんとハナが揃ってうつむく。


人型ひとがたじゃなかったんでしょう?」

「…そういう問題じゃない」

 動物の姿でも恥ずかしいことに変わりはないらしい。



「じゃあ注射にしたら?目をつぶって30秒くらい数えたら終わってるよ。一度の注射で済むなら楽じゃん」

…クズさんと応竜ちゃんとハナに睨まれた。



「看護師の友達が、体調が悪い時は自分で自分に点滴するって言ってたよ。栄養ドリンクよりも効くし、寝ながら水分とれて楽だって言ってた」

 クズさんと応竜ちゃんとハナに信じられないものを見るような目で見られた。



「それじゃあ風邪をひきそうな時は教えてね。暖かくしてゆっくり休んで悪化させないようにしよう。熱を出して苦しそうなハナを見るのは辛いよ」

「カナちゃん…」

『可愛い』『好き』と言い合ってハナと見つめ合った。



「九頭龍と応竜も体調がおかしいなって時はうちにおいでよ。梵天様も大黒様も忙しいからつきっきりで看病は無理でしょう」

「いいのか…?」

「歓迎するよ」

 ハナと思いっきり遊んでくれるクズさんと応竜ちゃんならいつでも大歓迎だ。


「ただし!うちでは喧嘩しちゃだめ」

 アルバロが釘を刺すとクズさんと応竜ちゃんが気まずそうに目をそらした。


「ちょくちょく僕の世界に行くから。そういう時は大黒様や梵天様のところで療養してね。ちなみに来週はずっと向こうだよ」

「そうか…」

 クズさんと応竜ちゃんが残念そうだ。ハナが間にいると喧嘩しないと気づいたらしい。モコモコなボディでぽわぽわした表情のハナを見ると怒る気が失せるらしい。



 離れている間に食べてもらえるよう焼き菓子を焼いて渡そう。子狸のクズさんと子竜の応竜ちゃんは可愛いのでつい甘やかしてしまう。

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