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第270話 ハナが進化

梵天様とクズさんが帰った。


「梵天様って管理職なの?」

「そう、新しい神が生まれると管理職の神々が引き取って育成してくれるんだ。僕と九頭龍は梵天様のところだった」


管理職の神々はそれなりの数がいるらしい。


「ちょくちょく来るみたいなこと言ってたけど育ててる神様を放っておいていいの?」

「梵天様は今は誰も育成していないみたい」

「そうなんだ」


 抱っこしたハナをなでなでしながらアルバロにいろいろ聞いている。お腹いっぱいのハナはお眠でほとんど寝ている。


「ハナが神獣ってことなんだけど」

「うん」

「今までと何か違うの?」

「能力がさらに高まったはずだよ」

「さらに強くなったの?」

「そう」

「他には?」

「変化なしだよ。今までも加護が多くて高スペックだったから」

「そっか。可愛いままか」

大満足な結果だ。


「本格的に寝ちゃったね、僕がハナのお布団を敷いてあげる」

 ハナをお布団に寝かせてキッチンの後片付けをしてその日を終えた。




「パパ!リザちゃん!」

 翌日ハナの進化を伝えようと父さんとリザを招待した。ハナが父さんとリザの間を行ったり来たりして大興奮だ。


「今日もハナちゃんは可愛いな!」

 父さんがいつも通り手荒にハナを撫でまくるとハナが大喜びだ。


「神獣に進化して何か変わったのか?」

「なんにもないよ」

ハナ自身、違和感は無いようだ。

「そうか!可愛いままか」

もう一度父さんがハナを撫でまくる。



家族でキャッキャしていたら表で声がした。

「僕が行ってくるよ」

アルバロが玄関を見てくると言って席を立った。



「カナ…」

「アルバロ、誰か来たの?」

「大勢来ちゃった。ハナの進化を確かめたいって」

困り顔のアルバロがため息をついた。


「ハナに加護を下さった神様たち?」

「さっそくお通しした方がいいんじゃないか」

 再びハナに会わせてくれた神々に感謝してもしきれない父さんと私はおもてなしする気満々だ。


「俺たちでお茶の支度をするからハナちゃんはアルバロと一緒に会いにいくといい」

「うん」

 素直なハナが父さんの腕の中からアルバロに向かって手を伸ばす。

「しょうがないな」

 ハナを抱き取ったアルバロが渋々部屋を出ていった。



 紅茶と栗のパウンドケーキを持っていくとハナが神様たちに代わる代わる抱っこされてはしゃいでいた。



「お茶をどうぞ」


「おお、すまないな」

「この間のパンケーキも美味しかったわ」

「あの時はお土産に焼き菓子までもらって悪かったな」

「あの焼き菓子も美味かったぞ」


 席に着いた神々の膝から膝をポテポテ歩いてきたハナを抱きとめる。

「カナちゃんの栗のケーキ大好き」

「ハナのために焼いたんだよ」

すりすりしてからハナを座らせてハナの前に紅茶とケーキを置いた。


「いただきまーす」

上手にフォークでぱくん。


「おいしー」

「よかったね」



「ああこれも美味い」

「中に入っている栗も立派だな」

「ハナちゃんは栗が好きなんだな」

「うん!熊になってから好きになったよ」

神々がニコニコ顔でハナを眺める。



 栗のパウンドケーキを食べ終わったハナが再び神々の膝から膝へ移動して可愛がられている。


「チョルノボーグはハナちゃんを自分の世界に連れて行ったそうじゃない」

「終末期患者が安らかに人生の終わりを迎える手伝いをしてもらった。ハナちゃんに導かれた魂は迷いなく旅立っていったよ」


「それはいい事をしたなあ」

「偉いぞハナちゃん」



 その後も神々がハナを可愛がりながら自分たちの近況を知らせあっていた。アルバロも一緒に楽しそうだなと、様子を眺めながらお茶を取り替えたりしていたら父さんがアルバロにそっと囁いた。

「アルバロ」


「どうしたのリオ?」

「皆さんメシを食っていかれるだろ、もういつでも出せるからな」

 お茶の準備をした後、父さんとリザはキッチンに残って料理をしていた。


「リオはサービスしすぎだよ、ありがたいけど」

「アルバロも神様たちもハナちゃんにまた会わせてくれたからな!」

「ありがたいよねえ」

「リオもカナも甘いんだから」


「じゃあ出すぞ」

「私も手伝うよ」



 父さんとリザと3人で手分けして配膳した。


「押しかけた上にすまんなあ」

「立派な肉だな!」


「ジビエは秋が旬なんだ」

「鹿・猪・鴨・兎・キジの前菜盛合せをどうぞ」


「この肉、美味うまっ」

「このソーセージ美味おいしいな!」

「それはキジのソーセージだ」

「鴨も美味い」


「葉野菜のサラダもどうぞ、我が家で栽培している葉野菜は新鮮で美味しいですよ」

「さっぱりするな」

「肉と交互に食べると永遠に食べられそうだ」


「これは鹿モモ肉のタルタルだ。低温真空調理で生に近い食感を残してあるからオススメだ」


「ワインのおかわりをどうぞ」

 ハナに食べさせながらワインを注いで周る。


「今まで食べた肉で1番美味い…」

「ワインに合うな…」



「猪のハンバーグをどうぞ」


「おいしー!」

 ハナは猪のハンバーグが1番気に入ったようだ。


「メインはジビエの炭火焼き盛り合わせです」

 鹿や猪を部位ごとに焼き方や調味料を変えて提供したら好評だった。


「デザートに柚子のシャーベットをどうぞ」



 神様たちに最後まで満足してしてもらえたようだ。


「お腹いっぱい…」

ハナが満足そうにお腹をさすっている。


「全部美味かった」

「ああ美味かった」

 神々にも満足してもらえたようだ。


「カナはパンとスイーツが専門でそれ以外はリオの仕事なんだよ」


「ハナちゃんのご家族はすごいな!」

「ハナちゃんは毎日美味しいものを食べさせてもらって良かったな」


「お礼をしないとね」


お礼?誰に?何を?


「私の加護をどうぞ」

「俺たちの加護もな」



 ハナに加護を下さった神様たちが父さんとリザと私にも加護をくれた。

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