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第269話 梵天様とハナ

 私たちの生活を勝手にのぞかないと約束してフルーツ大福の重箱は梵天様の手に渡った。


「梵天様もスイーツがお好きなんですか?」

「うむ。スイーツも酒も好きだ」

「苦手なお野菜とかは?」

「ない!」

「そうですか」


 今後たびたび訪問されそうなので好き嫌いを聞いてみたが気を使わずにすみそうだ。



「梵天様は僕ら実働部隊をまとめる管理職なんだ。管理職の立場を悪用してのぞきとかあってはならないことだよ」

 神様の世界がサラリーマンで脳内再生された。アルバロやクズさんが地方支社の営業マンで梵天様が本社の偉い人だ。本社の偉い人が、地方支社に勤務する部下が恋人と同棲する家を盗撮していたと考えるとダメさが分かる。


「ガバナンスもコンプライアンスも社会倫理もダメダメな不祥事だよね」

「カナもそう思うでしょう!」

「思う思う。ニュースになってTwitterとかでガバガバガバナンス(笑)とかコメントが殺到するやつだね」


アルバロがうんうん肯いている。


「もうしない…」

「当たり前だよ!それはそうと毎日来ないでね」


「……」


 なぜ黙るのか。頻繁に来るつもりだったのだろうか、アルバロが興奮するから遠慮してほしい。


「九頭龍だって遊びに来るのは月に3〜4回くらいだし」

「俺も仕事があるからな」

クズさんがちょっと偉そうだ。


「来るなら九頭龍と同じ日にしてよ。事前連絡は必須ね」

「仕方ないな…」


なぜか梵天様が上から目線だった。



「それはそうと梵天様がアルバロを待っていたというのは?」

「この前会ったばかりだし元気にしているのは分かっていたが九頭龍が楽しそうでな。お前の眷属にも会ってみたかった」


「この子が僕らの縁を取り持ってくれたんだよ」

アルバロがハナを抱き上げる。

「愛らしいな、チョルノボーグたちが溺愛している神獣だな」


「神獣?従魔じゃなくて?」

 アルバロに問いかけるとアルバロも困り顔だ。


「……ちょっと待って」

アルバロが黙ってハナと見つめ合う。


「神獣に進化してる…」

「ええっ」

「カナも鑑定してみて」

 ハナと向かい合って両手を握って見つめ合いながら鑑定してみた。


「ウルサス種の神獣ってなってる。ハナちゃん凄いねえ」

「えへへー」


「でもどうして?アルバロと一緒に過ごしているから?」


「チョルノボーグやテュールやカーリーたちの過剰な加護に儂の加護が加わったことが原因だ。もともと眷属は不死だが、さらに丈夫になって良かったな」


「うん…良かった」

 もう二度と年老いたハナを看取ることはないのだ。改めてこみ上げてくるものがある。ハナとおでこをくっつけて、こみ上げる涙を飲み込んだ。顔を上げてハナを見ると嬉しそうに私を見ていた。


「ハナちゃんは愛されて可愛がられているから、こんなに穏やかな顔立ちなんだな。大切にされて良かったなハナちゃん」



 梵天様がちょっといい事を言ってた。

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