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第267話 拠点にもこたつ

 父さんとリザがリザの実家から帰ってきたので全員でアルバロの拠点に戻った。


「こっちの家にもこたつを出そうか」

「うれしー!だして」

 ハナがはしゃいでアルバロと私の間を行ったり来たりする中で設置が終わった。


「ハナの場所ここ!」

 ぐるぐる回って匂いを嗅いで気に入った場所を定位置だと宣言してハナが潜り込んだのを確認してアルバロと私もこたつに入った。もちろんハナが真ん中だ。



「今日はゆっくりしようよ」

「ハナのお散歩はちゃんと行くからね」

「うん」

 お散歩大好きなハナが満足そうに肯いて、全員コタツムリになった。



 夕方近くなって動くのが辛いけど言い出した自分が怠けるわけにはいかないのでハナを連れてお散歩ダンジョンに行った。こたつを出した後、ずっとこたつにあたっていて動いていなかったので走り回って身体を動かした。


 

 お散歩から戻るとハナがこたつに直行した。ハナの気持ちに共感した私とアルバロもこたつに入った。

「今日の夕飯は出前で済ませようよ」

「僕もだらだらしたいから賛成!」

「じゃあアプリを起動するね」



 ハナをお膝に乗せてアルバロと身体を寄せ合って3人でタブレットをのぞき込む。


「どうせなら家で作るのが面倒だったり家では作れない味を出前したいなあ」

「家で作れないものってないでしょ」

「あるよ!」

 父さんと私に対するアルバロの評価が高すぎるが誤解だ。


「だって全部美味しいじゃん」

「ハナもカナちゃんが作るご飯大好き」


「ちょ…嬉しいけどさ、誤解だってば」

 ハナの頭のてっぺんに頬っぺたすりすりしながら答える。我ながら説得力のない答え方だと思う。


「ええー、カナに作れないものってどれさ」

アルバロが全然納得していない。


「いろいろあるよ。鰻だって捌けるのも、あの味を出せるのも父さんだけだよ。私には無理」

「リオとカナが力を合わせれば不可能はないってことじゃん」


アルバロがポジティブ過ぎて困る。


「いやいやいや!力を合わせても無理なものがあるから!」

アルバロの目が信じていない。


「たとえばね…」

 画面をスクロールしたら有名チェーン店のロゴが見えた。


「これ!」

「何このお爺さん」

「この人はこのチェーン店の創業者だよ。ここのフライドチキンは美味しいんだよ」

「リオのフライドチキンは最高に美味しいじゃん。カナの味付けも好きだよ。フライドチキンだけじゃなくて唐揚げも美味しいよ」

「ハナも好き」


「ありがとう。その評価は嬉しいけどここのフライドチキンは全然違うんだな」

 ハナの頭のてっぺんに頬っぺたすりすりしながら答えた。


「じゃあ今日はフライドチキンにしようよ!」

「ハナも食べたい」

 多数決で今日の夕飯はフライドチキンに決まった。


「じゃあ注文するよ。サラダとかスープはそれぞれ別のお店から取り寄せるね」

 自由に1品ずつ召喚できる仕組みで助かる。神様の召喚ってすごい。


「シーザーサラダはカリフォルニアのレストランから取り寄せるね」

 ガイドブックにも載っている有名店から取り寄せた。


「この日本のレストランのトマトサラダは何種類ものトマトを使っているんだよ」

 サラダは2種類取り寄せた。野菜にこだわったレストランのトマトサラダは5種類のトマトを使っていて美味しいのだ。


「スープは丸ごと玉ねぎのスープね」

たまに家でも作るけど手間と時間がかかる玉ねぎの甘みが美味しいスープだ


「メインのフライドチキンを召喚します!」

オリジナルチキン12ピース入りを注文した。


「絶対に足りないと思うけど無くなったら揚げたてを追加注文するから!」

注文確定ボタンをポチッとした。


どすん!


 キッチン方面から音がしたので心を強く持ってこたつから出たらアルバロも一緒に来てくれた。アルバロはなんでも一緒にしてくれるので助かる。

 働き者の父さんに育てられたので縦のものを横にするにも女性にやらせようとする男たちと過去に数えきれないほど喧嘩してきた私もアルバロには感謝してばかりだ。


「あれ?ハナも一緒に来てくれるの?」

「おいしい匂いする」

 絶対にこたつから出ないと思っていたハナがフンフンしながら着いてきてくれた。


「これこれ」

「ハナ、この匂いしってる!」

「食べるのは初めてだよね」

「うん!」

 アルバロと分担して食器やカトラリーと一緒にアイテムボックスに入れてこたつに戻った。



── こたつに見知らぬイケおじがいた。

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