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第264話 神様たちが来た

「パンケーキですか?」


 今日はアロマキャンドルを作ろうと思ったのに神様たちがやってきた。


「チョルノボーグが浮かれているのを見つけたのよ」

「なかなか口が固かったな」

「全員で問い詰めた」


「……すまん。こやつらが押しかけては迷惑になると言ったのだが」

申し訳なさを漂わせるノボさん。


「そんなに落ち込まなくて大丈夫ですよ!」


 ガーっと混ぜて焼くだけだから簡単だ。発酵させるようなレシピじゃないから気にするなとノボさんの背中をばしばし叩いて元気づけた。


「ハニーコームバターは昨日多めに作ったし材料は全部揃っているので早速作りますよ」

「いいのか!」

「悪いな!」


「あ」


「なんだ?」

「足りないものがあるなら用意するぞ」

「なんでも言え」


「クズさんも呼んであげたいなって」

ふわふわのパンケーキは絶対にクズさんの好みだろう。


「俺が連れてきてやろう」

 志那都比古しなつひこさんがクズさんを連れてくると言って出かけてくれた。気がかりが無くなったので大量のメレンゲを作る。


 安産の神の臨水夫人、ちょっと脳筋な戦いの女神のカーリーさん、軍神のテュールさん、雷神のトールさん、熊の守護神アルティオさん、風神の志那都比古しなつひこさん、火の神の迦具土かぐつちさん、アルバロのお父さん…全知全能の神様もいる。


 クズさんとアルバロを足して9人…9柱、ハナと私の分も焼くから卵白は最低でも20個は必要だな。


 迷わずインターネット通販で業務用のスタンドミキサーを召喚した。スタンドミキサーを洗う代わりに浄化したら、卵をパカパカ割って卵白と卵黄に分ける。


「凄いわ…」

「卵があっという間に…」

「神業だな…」

 まさか神様の口からそんな言葉が出てくるとは…私は神様じゃなくて眷属ですよ。


 機械で卵白を泡立てている間にほかの材料を計量したりトッピングのフルーツを用意しておく。神様たちはスタンドミキサーが珍しいのかじっと見ている。いつの間にか志那都比古しなつひこさんとクズさんもいた。



「ツノが立つくらいしっかり泡立てできましたね。混ぜ合わせて焼いていきますよ」


 手早く混ぜて焼いてゆく。今日はフライパンを4つ使って時間差で焼くつもりだ。それでも最初に焼いたものは多少冷めてしまうけど仕方ない…と思ったらアルバロのお父さんがやってくれた。


「この砂時計で囲んだ中は時間停止ね」

 少しメタボで品のあるアルバロのお父さんは眼鏡と上質なニットのカーディガンが似合うぽっちゃりさんで見た目通り食いしん坊だった。


「ありがとうございます、全知全能の神様」

「やだなあ他人行儀で!アルバロ君と結婚したら義理の娘になるんだからお父さんて呼んでよ」


動揺してフライパンが揺れた。


「…じゃあ神様って呼びます」


 無心でパンケーキを焼いて落ち着きを取り戻した。粉糖を振りかけてフルーツで飾ったら出来上がりだ。


「ちょうどお湯が沸いたからお茶は僕が淹れるよ。テーブルセッティングは出来てるから」

「ありがとうアルバロ」


「息がぴったりだな!」

「似合いの2人じゃないか!」

 焼いている間にアルバロが全部やってくれていたのでお皿を運ぼうとしたら神様たちの何気ない言葉で手が滑った。


「手伝うぞ」

 大人に化けたクズさんがフォローしてくれた。

「ありがとう」

「なあに、忘れずに呼んでくれたからな!」



客間の大きなテーブルに全員揃った。


「冷めないうちにどうぞ。ハニーコームバターとメープルシロップとハチミツはお好きなだけかけてくださいね」


「おお!」

「これがふわふわのパンケーキか!」

「メープルシロップが合うな」

「ハニーコームバターって美味しいのね」



 リコッタチーズのパンケーキは好評だったが食べながら何度もアルバロと私の話題になって心臓に悪かった。

 召喚された時に若返って今は15歳くらいだし寿命も伸びたし、今の生活が楽しくて結婚とか全然考えていなかったのに急に意識してしまいドキドキしているのはアルバロには内緒だ。

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