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第257話 神様とパフェ

今日はアルバロの拠点に果樹を植える。


「この辺りでいいかな」

「日当たりもいいね!」


 アルバロが棒で地面に印をつけてくれた場所に、事前に相談した通りの順番で苗を植えてゆく。植えるのは裏山と同じ種類の果樹だ。


 ハナと子狸なクズさんは自由に駆け回っている。クズさんはハナ同様に底なしの体力だし四つ足での追いかけっこが好きなようでハナと子供同士仲良く遊んでくれて助かっている。クズさんと思いっきり遊んだ日はハナのお散歩をスキップできるので楽ちんだ。



「こっちは終わったよ」

「ここに柿を植えたら、こっちもお終いだよ」

 アルバロと2人で土魔法を駆使して3時間かかったけど規則正しく並ぶ苗を見て大満足だ。


「何年くらいで収穫出来るようになるかな、楽しみだねえ」

「明日」

「は?」


「明日には収穫出来るよ。収穫しても翌日には復活するからカナは一年中美味しいスイーツを作り放題だよ」

 作り放題って…アルバロがキラキラしている…毎日は疲れるけどアルバロもハナも大袈裟なくらい喜んでくれるから頻繁に作ってもいいかなと思う。



「カナちゃーん!」

 ハナと子狸なクズさんが走ってきたので抱き止めた。


「ハナお腹空いちゃった」

「俺も!」

 右手にハナ、左手に子狸でウハウハだ。こんなに可愛くおねだりされたら“はい”か“Yes”の二択に決まっている。


「2人ともお水飲んで。軽く脱水を起こしているから。休んでいる間に何か用意しようね」


 ハナとクズさんをアルバロに任せてキッチンに向かい、アイテムボックスを確認したら美味しい洋梨があった。2人とも走り回って暑そうなのでアイスと洋梨でパフェにしよう。


 研修で東京に行った時にフルーツパーラーで食べた季節限定の洋梨パフェを再現する。材料のアイスやソースは作り置きしてアイテムボックスに保存してあるからパフェグラスに重ねるだけで出来る。

 出せばいつでも食べられるように材料と器があるだけ仕上げてアイテムボックスに入れてからお茶の準備をしていたら表が騒がしいので全部を収納して見に行った。



「九頭龍も遊びに来ていたのか!」

「ハナちゃん、おいでー」


 死神のチョルノボーグさんと戦いの女神のカーリーさんが来ており、それぞれ子狸のクズさんとハナを抱き上げてくるくる回っていた。


「運動不足を心配していたんだけど九頭龍と遊んでいたら充分そうね」

「うん」

 ハナのことを気にしてくれて会いに来てくれたようでハナも嬉しそうだ。カーリーさんがランニングウェアなのは、もしもハナが運動不足だったら一緒に走るつもりだったとのことだ。アルバロによるとカーリーさんはちょっと脳筋らしい。



「カナ、ゲストが増えちゃったんだけど…」

「2人増えたくらい大丈夫」

「良かった!ありがとうね、人数が増えたから来客用のエリアで食べようよ」



 はしゃぐ神様たちを来客用の部屋に誘導したらアルバロが紅茶を淹れてくれるというのでランチョンマットを敷いてパフェ用の長いスプーンとフォークを設置してまわると全員静かになった。


── 期待が重い…ただのおやつなので普通にしてほしい。


「今日は洋梨をパフェにしたんですよ」


 神様たちに配膳したらハナにも。一度にたくさん食べられないハナには小さめの器で特別仕様だ。

「どうぞ」

「ありがとカナちゃん!」

 ル・レクチェという品種の洋梨は完熟すると濃厚でジューシーで滑らかな舌触りが美味しいのだ。


 モフモフのお手手で掴んだフォークに洋梨を刺してぱくん。

「おいしー」

「裏山にル・レクチェを植えて大正解だったよね」

「うん!」

 ル・レクチェはハナと私のお気に入りの品種なのでたくさん植えた。



 神様たちの食欲が凄いのでフルーツの盛り合わせをテーブルの中央に置いた。どれもスイーツ並みに糖度の高いフルーツなのでご満足いただけるだろう。



「この果実が実に美味い」

「地球の品種をカナの希望で移植したんだよ」

「こんなに美味くては持っていきたくなるのも納得だな」

神様たちが同意する。


「この冷たいのも美味いな!」

「1番下に甘さをぎりぎりまで抑えたヨーグルトアイス。洋梨を挟んで、その上にはバニラアイス。バニラアイスは濃厚さを意識して作ったの。その上にはカカオの配合が多めでビターなチョコレートアイス。洋ナシとチョコレートは相性が良いから洋梨とチョコレートの組み合わせって多いんだ。ホイップクリームには少しビターなキャラメルソースをかけてあるの」


「洋梨だけで食べても美味いがチョコレートアイスと一緒に食べても美味しい!」

「儂も気に入ったぞ」

好意的なコメントばかりでほっとした。


「カーリーさんもチョルノボーグさんもフルーツの盛り合わせをどうぞ。こちらも甘いですよ」

「儂のことはノボでいいぞ。長くて呼びづらいだろう」

「じゃあノボさん」

「うむ」


 ノボさんとカーリーさんがフルーツの盛り合わせに手を伸ばした。


「む!」

「むむむ!」


「葡萄も柿も美味いな!」

「私はこの梨もシャリシャリして好きだわ」


「僕も水やりとか雑草取りとか世話したんだよ」

 カーリーさんとノボさんたちにアルバロが自慢げだ。



「ハナちゃんは大切にされて美味しいものをたくさん食べさせてもらって良かったな」

「うん!」



 死神のノボさんは甘いものが大好きで小さなハナに優しくて親しみやすい隣町のお兄ちゃんのようだった。

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