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第245話 拠点でも自由なハナ

 アルバロが父さんたちの家と私たちの家を自由に行き来できる小さなドアを作った日からハナは自由に行ったり来たりしている。


「よいしょ」

 ハナが専用の小さなドアに魔力を流すとリオとリザの家に転移した。


「パパー、リザちゃーん」

「ハナちゃん」

リオとリザがが駆け寄ったハナをモフモフした。


「どこ行くの?」

「我が家に戻って庭の木の剪定だ。野菜も収穫しないとな」

「ハナも行く!」



 リオとリザが家庭菜園で食べごろの野菜を収穫する横でハナが1つずつふんふん匂いをかいでいる。


「トマトがたくさん収穫できましたね」

「こっちのバケツはハナちゃんが持って帰るといい、カナに渡してくれ」

「うん」

 ハナがバケツを自分のアイテムボックスに入れた。


「次は植木だ」

リオとリザが生垣の前に移動する。


「伸びすぎたり混みすぎたりしている枝を適度に透かしてやるんだ」

「こんな感じですか?」

「上手だぞ!」

「ふふふ」

 高い位置で手取り足取りいちゃいちゃ指導が始まってしまった。刈り込む位置が高くてハナから見えないので楽しくない。


「ハナ帰るね」

「お、そうか。気をつけてな」

リオとリザが撫で撫でしてハナを見送った。


「ただいまー」

「おかえりハナ」


「これパパとリザちゃんから」

 ハナがアイテムボックスから採れたて野菜の入ったバケツを出す。

「庭の野菜だ、ありがとうハナ」

「お昼は野菜?」

「そうしようか?」

「僕、ピザがいいな」

「このトマトでピザソースを作って野菜もたっぷり乗せようか」

「ハナもピザすき!」


 ハナに見守られながらアルバロがピザソースを作り、カナがピザ生地を作って丸く伸ばした。


「じゃあみんなの好きなものを乗せていこうか」

「ペパロニとピーマン、これはペパロニをたっぷり乗せようか。チーズもたっぷりね」

「いいね!」

「これはナスとミートソース」

「ハナの好きな組み合わせ!」

「これはピーマンとオニオンとマッシュルームとトマトとコーン」

「野菜たっぷりだね」

「これはシーフード、エビとアサリとイカとカニとアンチョビとムール貝」

「美味しそう!」



「じゃあ釜に火を入れるね」


 焼くのはアルバロが担当してくれて上手に焼いてくれた。焼いたそばからアイテムボックスに入れて食べる直前に出してくれると言うのでハナと一緒にテーブルセッティングをしてサラダと野菜スープも用意した。


「準備できたね!」


 全種類を食べたいのでピザカッターで小さくカットした。今日食べきれない分はアイテムボックスに入れておけば料理をしたくない日にすぐ食べられる。


「いただきまーす!」


 ハナが食べたがっていたナスとミートソースを取ってやると具をこぼしながら食べるので慌てて取り皿を移動させて受け止めた。


「おいしー」

「ちょっと具を乗せ過ぎちゃったかな、食べにくいよね」

「おいしーよ」

 ハナはピザを一切れ食べてからお皿に落ちた具をフォークで上手に食べた。小さくカットしたので無理なく全種類を食べられてハナが満足顔だ。


「おいしかったー!」

「そうだね、アルバロのピザソース美味しかったよ!」

「そう?嬉しいな」

「多めに作ってくれたから余ったよね?また近いうちにピザにしようよ」

「ハナもピザ嬉しい」


 アルバロとハナとカナの3人暮らしは順調だった。




「パパー!」

 それから3日後の午後にハナがリオとリザの家に遊びに行くとリオがキッチンで夕食の準備をしようかというタイミングだった。


「ハナちゃん、会いに来てくれたのか?」

リオがハナをモフモフする。

「うん」

「お散歩は行ったのか?」

「行ったよ。今日はずっとダンジョンでドカンしたの。お昼はダンジョンでお弁当だったよ」

「そうか、楽しかったか?」

「うん」

 リオがハナを撫で回してから手を洗って調理器具を出した。


 ハナが後ろ足で立ち上がってリオの足につかまる。

「ハナちゃん?」

「ハナ、しゃけ食べたいー」

ハナが甘えるようにリオの足を揺さぶる。


「じゃあ捌くか!」

 迷いなくアイテムボックスから鮭を1本取り出してうろこをとって捌くところから始めた。リオは今日もハナの言いなりだった。



「リオ様、メロンをとってきましたよ」


 裏山の温室からリザが戻るとキッチンにハナがいた。

「ハナちゃん来ていたんですか!」

「リザちゃん」

リザがハナをモフモフする。


「リザ、今日はハナちゃんたちを飯に呼ぼうと思うんだ」

「いいですね!」

「ハナちゃん、カナとアルバロを呼んできてくれるか?」

「うん!」



「それで父さんは言いなりに鮭のフルコースを作っちゃったの」

 テーブルにはハナのための鮭料理とリザのための肉料理でいっぱいだった。

「た、たまには良いじゃないか」

「私も人のこと言えないんだけどね!」


 ハナとアルバロの喜ぶ顔が見たくて毎日スイーツを用意しているカナだった。



「食べきれないだろうからタッパーに入れてある。切り身もラップしてあるから持って帰ってな」

「ありがとう」



しゃけおいしー」

 鮭のゴマ照り焼き、鮭と野菜のレモンバターのホイル焼き、鮭ときのこの炊き込みご飯に大満足のハナだった。

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