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第244話 神々の森

「今日はみんなで森の中を歩いてみるの?」

「うん。リオたちも家が整ってきたっていうしね」



 それぞれの家で家事を済ませて集合した。


「パパ!リザちゃん!」

 1日ぶりの再会に大喜びのハナが父さんとリザの間を行ったり来たりして匂いをかいではしゃいでいる。


「ねえ、その前にハナが父さんとリザの家に自由に行けるようにできない?」

「そうだね、リオとリザはいい?」

「大歓迎だぞ!」

「嬉しいです」



 アルバロがお互いの家にハナ専用の転移できる小さなドアを作った。


「ほら試してごらん」

 アルバロがハナを促すとハナが消えた。少ししたらハナが現れた。

「成功だね」

「ありがとー」

 ハナの尻尾がぴこぴこして可愛い。これでいつでもハナが2人に会いに行ける。



「じゃあ行こうか」


 石柱の間をくぐると森だった。さっきまで見えていた家も見えない。



少し歩くと中国風のランタンが見えた。


「ここは臨水夫人の拠点の入り口」

「臨水夫人ってハナを今の姿に生まれ変わらせてくださった安産の神様だっけ?」

「そうだよ」

「ありがたいよねえ」



「アルバロったら素通りするつもり?」

何もない空間から美女が現れた。


「ハナちゃん今日も可愛いわ。大切にされているのね」

臨水夫人がハナを抱き上げて優しく撫でる。

「むふー」

撫でられたハナが気持ち良さそうだ。


「今日は初めて森を歩くんだ。全員に挨拶してたら終わらないよ。僕の拠点を建てかえておもてなしできるようにしたから今度訪ねてきてよ」

「そうなの?仕方ないわね」


臨水夫人がハナを優しく降ろした。

「またね、ハナちゃん」

「ばいばい」

ハナの頭を優しく撫でて臨水夫人が消えた。



「この間会ったカーリーは遺跡っぽいエリアに拠点を設けているんだ。テュールとトールとチョルノボーグは街っぽいところ。この森には志那都比古しなつひこ迦具土かぐつちの拠点もあるよ」


 滝や泉などもある豊かで美しい森は歩いていても飽きなかった。たまに目印のように石燈籠や石碑、彫像、トーテムポールなどがあり、その度にアルバロが誰の拠点か解説してくれた。


ぐるりと回ってアルバロの拠点に戻った。


「ここに石が埋まっているでしょ?」

言われてみれば彫刻された三角柱の石で囲まれた場所がある。

「こっちで遺跡っぽいエリアに転移できるよ、こっちで街っぽいエリアに転移ね。街っぽいエリアに僕らを創造した父も住んでるんだ」

 神々の行政組織も街にあるらしい。アルバロのお父さんは主神たる全知全能の存在らしいのでお髭が立派なギリシャ彫刻で脳内再生した。


「僕のお父さんに会いに行くよ、こっちの円柱の石で囲まれた中に入って」

全員が囲いの中に入ってアルバロが転移させてくれた先は遺跡風な役所のような建物だった。


「こっちこっち」

 アルバロに先導されて建物の中を進むと重役室っぽい部屋の前に着いた。


「お父さーん、入るよー」

 アルバロがノックしながらドアを開ける。全知全能の神様に紹介される日が来ようとは…流石に緊張する。


「アルバロ君!おかえり!!」


 テンション高めに迎えてくれたのは少しメタボで品のある中年男性だった。眼鏡と上質なニットのカーディガンが似合うぽっちゃりさんだ。髭じゃないし全然ギリシャ彫刻っぽくなかった。


「後ろのみんながアルバロ君の眷属?」

「うん、一緒に僕の世界を発展させてくれてるんだ」

「ありがとうね!アルバロ君は能力が満遍なく優れているから1人で任せちゃっているんだけど心配だったんだ」


 全知全能の神様によると普通は何柱かの神々で1つの世界を治めるらしい。クズさんの世界もそうだって言ってたなと思いながら話を聞いた。


「アルバロ君たちが転生させたのはその子?」

全知全能の神様がハナに釘付けだ。


「そう、ハナの望み通り元の家族に再会できたよ」


「可愛いなー」

テンション高めにハナを抱き上げてモフモフする。


「さっき臨水ちゃんに拠点を改築したって言ってたよね?」

「うん」

「僕も遊びに行くね!」

「オッケーだよ!」



 厳めしい神様を想像して緊張していたけど、全知全能の神様は普通のおじさんだった。

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