第240話 拠点の家
翌日の朝ごはんは前の日にお散歩ダンジョンでドロップした鮭を焼いた。このほかのメニューはお味噌汁とだし巻き卵とタコさんウインナー、残り物のカボチャの煮付けと蓮根のきんぴら、父さん特製の糠漬けだった。
「朝ごはん、おいしかったねー」
「そうだね」
朝から鮭を食べたハナがご機嫌で甘えてきて可愛い。
「今日は僕の拠点に建てる家の相談をしようよ」
食後のお茶を飲みながらアルバロが切り出した。
「やっぱり外観はアルバロの世界に合わせるんだよね?」
「うん。その代わりに内装は自由にできるから畳もオッケーだよ」
「それは助かるな!1室は和室がほしい。リザはどうだ?」
「私も畳は好きです」
和室好きな父さんはアルバロの拠点でも畳の部屋が必要みたいだ。
「私は掃除が楽だしベッド派なのでフローリングが好きなんだけど、ハナと一緒にゴロゴロしたりハナと一緒にちゃぶ台でご飯を食べたりするのは和室じゃないと」
「オッケー、フローリングと和室ね」
アルバロがみんなの希望を書き留めながら間取りを決めてゆく。
「後から増築できるし今ガチガチに決めなくてもいいから、こんなものかな」
父さんとリザの家はお風呂が温泉で和室が中心の3LDK。アルバロと私たちが暮らす方も3LDKだけどプライベートなエリアとは別にアルバロのお客様をもてなすための部屋も何部屋か作ることになった。
アルバロの希望で父さんたちの家も私たちの家も立派なキッチンとお風呂が作られることになったのも嬉しい。
「新しいおうち楽しみー」
「楽しみだねえ」
「今日の午後に建てるよ」
「俺たちは何を手伝ったらいい?」
「必要ないよ」
「ないの?」
「うん。拠点の家作りは僕の神力でできるんだ。みんなのおかげで僕の世界が発展して神力が貯まってるしね」
「へえー、神様って凄いんだねえ」
「じゃあアルバロの力になるような昼飯を作ってやる」
「ありがとうリオ!」
お昼は父さん特製のカツ丼だった。お昼の後、それぞれが掃除や家庭菜園の世話などの用事を済ませてから集合した。
「じゃあ行こうか」
ずっと前にアルバロが設置したドアでぞろぞろ移動した。昨日、仰々しく転移したのはアルバロがドアの存在を忘れていただけらしい。全然使っていなかったもんね。
「じゃあ今ある家を消して…」
一瞬で更地になった。
「この辺りにリオとリザの家!」
ボフン!と石造りの家が現れた。
「入ってみようか」
玄関をくぐると中は日本家屋っぽかった。
「裏山に温泉旅館を作った時にだいぶ研究したから違和感なくできていると思うんだけど、どう?」
「素晴らしいな!」
「気に入った?こっちがキッチンね!」
アルバロが予告した通り立派な業務用キッチンだった。
「こっちがトイレ、日本製だよ。奥は温泉ね!」
「全部素晴らしいな!」
「気に入った?」
「もちろんだ!」
「使っているうちに不足が出てくると思うから気軽に言ってね。すぐに修正できるから」
「いやあ文句なしだ」
「家具や布団とかは好みのものを2人で選ぶって言ってたから用意していないんだけど」
「ああ。リザと一緒に少しずつ揃える」
「そっか。このドアは向こうの家と繋がってるからね」
「助かる。温室の世話もあるし頻繁に行き来するからな」
「気に入ってもらえて嬉しいよ」
全員で外に出た。
「この辺りに来客用のエリア、奥にプライベートなエリアを作るよ!」
ボフン!と石造りの家が現れた。父さんとリザの家より立派な外観なのは来客用だからだろう。
「入ってみようよ」
アルバロの後に続くと、相談した通り来客用のエリアはアルバロの世界のまんまの石造りで奥のプライベートなエリアは和洋折衷だった。
「キッチンとかトイレとか温泉はリオとリザの家と同じだから説明は省略ね。こっちの来客用のエリアはみんなで使うことになると思う。あの様子だと昨日の神々がたまーにハナに会いにくるだろうからこのエリアでもてなすことになると思う」
「じゃあお酒とスイーツは常備しておこうか」
「そうだな」
ハナを可愛いがってくれる神々なら大歓迎だ。




