第236話 ハナに会わせてくれてありがとう
アルバロの幼馴染が帰ったので雰囲気を変えたくてお茶を淹れ直した。今度は私のお気に入りのアールグレイだ。
「ここにリオとリザの家を用意するよ。カナとハナは僕と一緒」
リオとリザは新婚だし別棟にしようと提案された。それは私も大賛成だ。リザは気にしていないようだけど私がリザの立場だったら嫌だと思う。気にせず小姑な私と仲良くしてくれるリザに感謝だ。
「間取りと外観はゆっくり相談しよう」
「ありがたい」
「うん。それでね、今日はハナを転生させる時に力になってくれた神々に会いに行かない?」
「ハナに加護をくれた人たち?」
「うん、かなり心配していたから。ハナが幸せに暮らしていることは知られているけどね」
神々だしお見通しなのだろう。
「手ぶらでは行けないな」
「そうだよね!またハナに会わせてくれたんだもん」
「じゃあスイーツ出して!」
「甘いものでいいの?」
「神々は甘いものが大好きなんだ。お供えに甘いものって定番でしょ?」
「酒はどうだ?」
「大好きだよ」
「じゃあワインも持っていく?」
「そうだな!」
スイーツは焼き菓子の詰め合わせと生どら焼きにした。生どら焼きは粒あん&生クリームと生クリームに粒あんを混ぜてあるタイプを用意した。苺クリームと栗クリームと抹茶クリームもある。
「じゃあ行こうか」
石柱の間を抜けるとただの森だった。
「あー…。こっちに来ていることがバレてて待たれちゃってるみたい。集会所みたいなところに集まってるからそこに転移するよ」
アルバロの合図で一瞬で転移すると目の前に大きな神殿のような建物があった。
「こっちこっち」
アルバロに案内されてずんずん進んでゆくと神々しい美男美女が集まっていた。
「ハナちゃん!無事に転生できてよかったわ」
「臨水夫人は安産の神」
アルバロが紹介してくれた美女が駆け寄ってハナを抱き上げた。
「とっても可愛いわ」
「ハナを前みたいに白くしてくれてありがと。カナちゃんとパパに会えたよ」
「ええ、知っているわ。ハナちゃんは愛されているのね」
「えへへ」
この美人で優しそうな女神様がハナを可愛いシロクマに生まれ変わらせてくれたようだ。感謝を込めて焼き菓子とワインを渡した。
「まあまあまあ!わたくし甘いものもお酒も大好きなの、ありがとう」
「我々にも抱っこさせておくれ」
「待っていたんだよ」
「うわー!可愛い」
そわそわしていた神様たちに順番に抱っこされてハナがご機嫌だ。お礼のお菓子とワインを渡したいな…と思ったタイミングでアルバロが紹介してくれた。
「カーリーは戦いの女神、テュールは軍神、トールは雷神」
── 強そう!
「チョルノボーグは死神」
── 死神!?
「アルティオは熊の守護神だよ」
── すっごく綺麗な女神様!しかも熊の守護神だって!
「志那都比古は風神、迦具土は火の神だよ」
ハナに加護をくれたのは、やべー神様ばっかりだった。




