第235話 アルバロの幼馴染
アルバロの拠点でテーブルについたら1人多かった。
アルバロの隣に座った黒髪で背の高いイケメンがフィナンシェを二口で完食した。
「美味いな!」
次にビスコッティを手に取ってボリボリと美味しそうに食べている。
「硬いが美味い。木の実がいいアクセントになっている」
ボリボリ音をたててアーモンド入りのビスコッティを1つ完食してアルバロの分のお茶を一気に飲み干した。
「ちょ!いつの間に!」
「お前の気配を感じてな。ずいぶん長く留守にしていたな」
「全然長くないよ!後で会いに行くから帰ってよ!」
「これを食ったらな」
見知らぬイケメンが焼き菓子の鉢を自分の側に引き寄せた。涼しげでクールな見た目に反してスイーツ大好きらしい。
「ダメだよ!」
「ハナのロシアケーキ!」
甘党のアルバロとハナが涙目だ。ムキになったアルバロが手に魔力を纏わせてバチバチさせている。
「アルバロ、それはあげちゃっていいよ」
焼き菓子はいろんな種類を作っては複製してアイテムボックスに入れてあるので新しい菓子鉢にビスコッティとフィナンシェとロシアケーキを出した。
「お茶も淹れ直してあげる」
「……もう〜!!」
アルバロのお茶を淹れにキッチンに向かうとハナも一緒に来てくれた。今日も可愛い。
アルバロにお茶を入れてテーブルに戻ると見知らぬイケメンとアルバロの間の空気がギスギスしていたが気にしないことにした。2人(2柱?)の問題は2人で解決してくれ。
「ハナはどれがいい?」
「ジャムとナッツの!」
ハナが食べたがっているロシアケーキを皿に取ってやると機嫌を直して食べ始めたので私も気にせずお茶を飲む。
「お前の眷属って良い性格だな」
マイペースでお茶を飲む私とハナ、2人の世界に浸る父さんとリザを見渡してイケメンがつぶやいた。招待されていないのに押しかけて勧められてもいない焼き菓子を食べるイケメンこそ良い性格だと思うので気にしないことにした。
「もう!それを持って帰ってよ。後で会いに行くから」
「まだまだ食えるぞ」
「帰れ!」
アルバロがイケメンを追い出した。
「はあ………」
「アルバロの友達?」
「幼馴染み。騒がしくしてごめん。あの様子だと特に用事も無くて会いにきただけみたい」
「オリエンタルだけどソース顔で服装は和風な雰囲気だったな」
スルーしつつ父さんもしっかり観察していたようだ。
「名前は九頭龍。リオの言う通り九頭龍たちの世界は和風なんだ」
「たち?」
「うん、九頭龍たちの世界は複数の神々で治めているんだ。九頭龍は雨と水を司る神、あと縁結びも」
縁結びは意外過ぎた。
前話に続いてご訪問ありがとうございました。
5/1も5/2も勤務ですがGW中に書きだめ頑張ります
m(_ _)m




