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第224話 アガー

 海に来た。今日は寒天とアガーの原料となる海藻を採取するのだ。


 アガーの原料は紅藻類から抽出したカラギーナンという成分で、寒天はテングサやオゴノリなどの粘液質を凍結・乾燥させたもの。

 寒天で冷製の前菜を作りたい父さんも採取に協力してくれることになったので3人で海に来た。暑いのでハナとリザにはお空の散歩に行ってもらった。


「マッピングスキルを起動して…海藻のアイコンがピコピコしてる」

「それが目的の海藻だよ」

「へえー!さっそく採取していこうよ」


 海苔を採取した時の要領で網を使って採取するが一度に採れるのは少量だ。何度も網を投げては場所を移して採取し、ある程度の量が採れた。



「疲れたね…」

「大変だったな」

私も父さんもくたくただ。


「ねえ、これも養殖しようよ」

「そうだな、海から採取するより養殖する方が楽だ」

 海苔の養殖と同じ装置で養殖を試すことにした。今日採取した半分を養殖、半分を加工する。


「寒天とアガーの成分の抽出は魔法陣でやるよ。カナと一緒に化学式を調べて、それをもとに魔法陣を組んだから」

 伝統的な製法は手間と時間がかかるので諦めた。そのうち気が向いたら試してみようと思う。


 アルバロと一緒に描いた寒天の魔法陣の上にテングサを乗せて魔力を流す。


「出来た!」

魔法陣の上に大量の棒寒天が乗っている。


「大成功だね!アガーも試そうよ」

 アガーの魔法陣の上に海藻を入れたボウルを置いて魔力を流すとボウルの中身が粉末アガーになった。


「こっちも成功だね!」

 乾燥剤代わりにお茶パックにお米を詰めたものと一緒に瓶に保存した。



「リザとハナちゃんが帰ってきたらこれで作った飯を食わせてやろう」

「手伝うよ」


 我が家のキッチンに戻って、出来立てアガーで甘いミルクコーヒーゼリーを作った。コーヒーはまだこの世界で一般的でないという話からアルバロがダンジョンに追加すると言いだした。アルバロ1人に任せるのは危険なので私とハナもついて行くことにした。


 父さんはトマト寒天と白だしの寒天よせなどを作っている。白だしの寒天よせはカニカマや魚介、夏野菜など具沢山で豪華だし、トマト寒天にレモンを絞っていただくとさっぱり美味しい前菜になる。



「メインはどうする?」

「家庭菜園で採れた夏野菜のカレーはどうだ?」

「いいね!」

 たっぷりの野菜をみじん切りにして溶けるくらい煮込んだ上に野菜の素揚げと焼いたチキンを乗せて完成だ。父さんが大量の肉を焼いているのはリザ用のトッピングだ。



「ただいまー!」

「おかえり」

玄関でハナを浄化した。

「おいしいにおい」

ハナがフンフンする。

「この匂いはカレーですね」

「正解!すぐに食べられるよ」

「お腹すいたー」


 ハナとリザと一緒に戻ると準備が出来ていた。

「いただきまーす」

 素揚げしたピーマンやカボチャ、茄子が艶々のテカテカで食欲をそそる。


「おいしー」

「うん美味しいね」

「この赤いのもおいしー」

「今日作った寒天でトマトを固めたんだ」

「おいしーよ」

「そうか」

父さんがニコニコだ。


「白だしの寒天よせも美味しいね、具沢山で寒天をほとんど感じないかも」

「本当だ、お出汁の旨味は感じるのにね」

 アルバロは白だしの寒天よせが気に入ったようだ。



 アガーで作ったミルクコーヒーゼリーは明日にしよう。カレーが美味しくて食べ過ぎた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 返信コメントありがとうございます! 【博識】 いやいやいやいや!浅く・広く・興味のあるのだけ、という、デカい水溜りレベルな雑学程度ですから~~! 【テングサのオス・メス】 銀杏のよう…
[良い点] 更新ありがとうございます♪ 子供の頃、毎年行ってた漁村の民宿の女将さんが作る寒天のお手伝い(テングサの仕分け)したのを思い出して懐かしくなりました。 「テングサはオスとメスがあるんよ~…
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