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第223話 フルーツゼリー

 夏っぽいスイーツを作りたくなった。


「こっちの世界で作れるのは寒天とアガーくらいかな。ゼラチンの原料は牛や豚の骨や皮のコラーゲンだったっけ。自分で作ったら獣くさい何かが出来上がりそうだし…」


「カナちゃん?」

1人でぶつぶつ言っていたらハナがいた。


「夏っぽいゼリーを作りたいなって」

「ゼリー!?」

ハナの尻尾がぴこぴこ揺れる。


「こっちの世界の材料で作りたいんだ」

「どうするの?」

「寒天とアガーは海藻が原料なの。海で材料を採れないかなって思って」


「手伝うよ!」

背後にスイーツ好きなアルバロがいた。



「寒天はゼラチンより歯切れがよくて、ほろほろ崩れるようなテクスチャで杏仁豆腐とか水羊羹にぴったりなの。アガーはゼラチンと寒天の間くらいの弾力でプルッとした食感が特徴かな。無味無臭だから何にでも合うし、30~40℃くらいで固まって常温でも型崩れしないから冷蔵庫が無くても作れるよ」


「へえー!ゼラチンは?」

「ゼラチンは牛や豚の骨や皮のコラーゲンが原料で、20℃以下じゃないとちゃんと固まらないし25℃くらいで溶けてくるから夏は冷蔵庫がないと扱いにくいかな」

「へえー」


「それに生のパイナップルやキウイに含まれるタンパク質を分解する酵素の影響で固まらないとか、一緒に固めるものとの相性も難しいかな」

「そうなんだ!」



「カナちゃん何を作るの?」

 ハナがキラキラしている…これは原料から作ると待たせ過ぎて拗ねてしまうだろう。


「いろんなフルーツを入れてアガーでフルーツゼリーを作ろうか、明日は海で寒天とアガーの原料を採取しようよ」

「うん!」

「温室にフルーツを採りにいこうか」

「いくー!」

ハナがご機嫌で可愛い。



ハナとアルバロと3人で温室に来た。


「暑い…」

「さっさと採って戻ろうよ」

 夏の温室は猛烈に暑かった。目についた食べごろのフルーツを採って急いで帰った。



「麦茶が美味しい…」

戻ったらすぐに麦茶で水分補給した。



「じゃあフルーツゼリーを作っていこうか」

ハナとアルバロに見守られながら調理開始だ。


「まずは採ってきたフルーツを洗ってカットします」

 いちご、皮ごと食べられる種なしマスカット、マンゴー、メロンなどをカットして彩りよく型に入れて冷蔵庫に入れておく。テリーヌ型の上までフルーツがぎっしりだ。この隙間にゼリー液を流してフルーツとフルーツをゼリーでつなぐイメージだ。


「ボウルに砂糖とアガーを入れて混ぜます。お鍋に水と混ぜておいた砂糖とアガーを入れてよく混ぜながら加熱します」


「火を止めてからレモン汁を加えてよく混ぜたら粗熱をとります。アガーは常温でも固まり始めるからすぐに型に注ぎ入れます!」


「あっという間にできちゃうんだね!」

「冷蔵庫に入れておけば夕飯の後のデザートに間に合うよ」

「うれしー、楽しみ」


「余ったフルーツ食べる?」

「食べる!」

 3人で採れたてフルーツを食べてからお散歩ダンジョンでひと暴れした。



「ダンジョン楽しかったね!」

 今日のダンジョンは草原のフィールドでバッファロー系の魔物がたくさんポップした。牛肉やチーズがたくさんドロップしてハナがご機嫌だ。



「ただいまー!」

 帰宅するとキッチンからお腹の空く匂いがしてハナがすっ飛んでいった。

「おかえりハナちゃん、もうすぐ出来るから待っててな。今日は俺の冷やし中華だぞ。胡麻だれで具沢山な!」

 チャーシュー、モヤシ、トマト、錦糸卵、エビ、オクラ、カイワレ、白髪ネギ、揚げたワンタンの皮、紅生姜。野菜たっぷりで麺が見えない。


「おいしー」

「私も父さんの冷やし中華大好き」

「たくさん食えよ!」

 ご機嫌な父さんがチャーシューを山盛りに盛ったお皿をリザの前に置く。



「美味しかったね、お腹いっぱい…」


「カナちゃん!」

忘れてた!

「ちょっと待ってね、持ってくるから」


 フルーツゼリーを持って戻るとお皿が用意されていた。

「テリーヌの型で作ったんだ。ほとんどフルーツでゼリー部分はつなぎだから」

 型から出してスライスする。今日はアルバロ以外は全員普通の一人前だ。アルバロは残り全部。


「おいしー」

「彩りもきれいだな」

「プルッとした食感で美味しいね!」



 アガーで作ったフルーツゼリーは好評だった。こっちの世界でのアガー作りも上手くいくといいな。

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