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第221話 海水浴

 王都でローザたちと再会した翌日には我が家に戻って畑や養殖している海産物の世話をしている。今日は家庭菜園で種まきだ。


 今日植えるのはナス、トマト、ピーマン、シシトウ、パプリカ、枝豆、オクラ、とうもろこし、さつまいも、キュウリなど。


「さつまいもはハナが好きだから美味しい品種をたくさん植えようね」

「うれしー」

 ハナが丸い尻尾をぴこぴこさせている。収穫したら焼き芋をしてスイートポテトも作ろう。栗きんとんもいいな。




「大豆畑、広いねー!」

 家庭菜園で種まきした翌日はアルバロおすすめの秘境の一角に大豆畑を作った。



 稲荷寿司専門店を作りたい巽と桃吉さんと長吉さんからの依頼で大豆をたくさん栽培することになった。

 最初は大豆農家を探したらしいが巽たちが必要とする量の大豆を栽培している農家が見つからず相談されて我が家で栽培することになった。畑が増えて嬉しいリオとカナだった。



 海や畑、裏山を回って忙しく過ごしていたら7月になった。こっちの世界に猛暑はなかったけれど普通に暑い。


「カナちゃん、何しているの?」

 空調の効いた部屋でスマホをポチポチしていたらハナがのぞき込んできた。

「海で遊びたくて水着でも買おうかなって」

 候補をいくつかカートに入れておいた中から上下セパレートの水着を選んだ。水着のほかにもいろいろ買ったらすぐに段ボールが届いた。

「これこれ」

 段ボールをめりめり開けると水着やパラソル、浮き輪、ボートなどが出てきた。



「海で水遊び?」

「そう、浮き輪とかボートも買ったから」

「いいな!夏だしな」

 夕飯の時に海で遊びたいと話したら父さんが乗り気だった。こっちでは海水浴という概念がないらしくリザとアルバロがポカンだった。リザのことは父さんに任せて私はアルバロに説明してアルバロの水着を買った。



「海だー!」

 さっそく翌日遊びにきたらハナのテンションが高い。養殖場のために毎日来ているけど海水浴は別らしい。


 ハナを乗せたボートをアルバロと一緒に押したり、膨らませたシャチにハナと一緒に乗ったらアルバロが引っ張ってくれたり、浜辺でボール遊びをしたり、思った以上に楽しい1日だった。


「楽しかったー!」

「よかったね」

「ハナ、海すき」

喜んでもらえて何よりだ。



「思いっきり遊んで腹が減っただろう。今日の夕飯は浜辺でバーベキューだ」

 お肉、ソーセージ、とうもろこし、ピーマン、かぼちゃ、キノコ、エビなどをどんどん網に乗せてゆく。


「焼けてきたぞ」

 父さんがみんなのお皿にどんどん乗せてゆく。

「美味しいです!」

「もっと食え」

 父さんがリザのお皿にわんこそばのように肉を盛ってゆく。


「おいしー」

「ハナもバーベキューが気に入った?」

「うん」

 父さんが昨日から下味を仕込んだ甲斐があると満足顔でハナを見ている。肉も野菜もエビも美味しい。



「帆立は殻ごと網に乗せるぞ」

 生クリームと瓶詰めのウニを混ぜて作ったソースを帆立にたっぷりかける。じゅうじゅうソースが煮詰まる音が美味しそうだ。

「ソースが半分くらいまで煮詰まったら完成だ」

父さんが手早く配ってくれた。


「熱いから気をつけて」

 ハナが齧り付かないよう注意すると一生懸命ふーふーして可愛い。


「おいしー!」

「うん!美味しいね」

 帆立のウニクリームソースは絶品で海辺のバーベキューは大成功だった。



「今日は楽しかったね」

「アルバロも海水浴が気に入った?」

「うん!海水浴デートって付き合いたてのカップルの定番なんでしょう?」

アルバロがめっちゃ笑顔だ。

「うん」

「夏の間にまた来ようよ」

「そうだね」

 ハナとアルバロと3人で遊ぶのは楽しかった。アルバロはいつもハナと私のことを考えてくれるからつい甘えてしまう。それを負担に思っていなさそうなアルバロは本当にいいやつだと思う。



 …確かに付き合いたてだし海水浴デートは定番だし楽しかったけど今日はハナを中心に2人でハナを遊ばせて、付き合いたての2人というより子供連れの家族みたいだったと思って恥ずかしくなってしまった。

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