表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/331

第217話 コッペパン

 回復して何か作りたくなったのでパン生地を捏ねてコッペパンを焼いていたら父さんが挟む具材をたくさん用意してくれたのでみんなで挟んだ。ハナは座って見ている。


 アルバロが挟むのは甘い組み合わせだ。

「ホイップクリーム&あんこ、きなこクリーム&あんこ、フルーツサンド、クリームチーズ&ブルーベリージャム、練乳クリーム&フルーツ」

 どれも一口で中身がはみ出すくらい詰めている。


「たまごサラダ、焼きそばパン、ポテサラ、千切りキャベツとコロッケ、千切りキャベツとトンカツ、ツナサラダ」

 私は定番の具材をはみ出すくらい具沢山に詰めた。


「カレー&たまご、ナポリタン、ハムカツ、白身魚のフライ、海老カツ、照り焼きチキン&たまご、海老フライ、ポテサラ」

 父さんのコッペサンドも伝統的な組み合わせばかりだ。


「チキン南蛮、ハンバーグ、牛カルビ、メンチカツ、ソーセージ」

 リザは予想通りお肉をぎゅうぎゅう詰めている。ソーセージを挟んだやつはコッペサンドというよりホットドッグだな。



「ハナには鮭フライを挟もうね」

「うん!」

 ハナの希望通り分厚い鮭フライを揚げて、たっぷりの千切りキャベツとタルタルソースと一緒に挟んだ。



「ハナお腹すいた!」

「お昼にしようか」

 具沢山のコッペサンドは4等分にカットして、少しずつたくさん種類を食べられるようにした。


「ハナは鮭フライとどれ?」

「クリームとあんこ、あとはね…ハンバーグもとって」

「はいはい」

 ハナの食べたいものを取ってやる。もう一切れくらい食べそうだな。私はコロッケサンドからいこうかな。


「おいしー」

「美味しいね」

ハナと微笑み合う。


「手捏ねでパン作りしてもなんともないし完全回復したみたい」

「そうか!小さくなった時はどうしようかと思ったぞ」

「私も鏡をみて夢かと思ったよ」

 元通りに戻ってみれば笑い話だけど小さくなった時はびっくりした。


「もう大丈夫だから明日の夜はクラリッサたちと飲んでくる」

「お友達のみんなを驚かせちまったなあ」

「お見舞いにも来てくれたしね、コッペサンドを複製したからお礼に持っていくよ」

「それはいいな!」



 予告通り翌日の夜、ヘンリクさんのお店に集まった。

「いらっしゃいませ、この間は驚いたよ。元通り元気そうだね」

「驚かせちゃってすみません、私もびっくりでした」

 ちょっと恥ずかしくて照れ笑いが出てしまう。

「エステルさんが到着済みだよ」

 ヘンリクさんが案内してくれた個室にはエステルがいた。

「カナ!ハナちゃん」

 エステルに飛びついたハナを受け止めたエステルがハナを抱きしめてすりすりした。


「カナが元に戻って良かったわ」

「お見舞いありがとう」

「小さいカナとハナちゃんが寄り添う姿は貴重だったわ。とっても可愛いかった!」

── 照れるわ。



 到着したクラリッサも遠野も巽も小さい私がハナと抱き合って可愛かったと挨拶代わりに言うので恥ずかしい…。


「カナちゃんが元気になってよかったね」

「うん」

 孤太郎君とハナの会話も私のことだった。



「種族特有の病気ってあるわよね、エルフは子供の頃に魔力の成長と身体の成長のバランスが悪いと寝込んでばっかりなの」

「身体の成長が早くて魔力が足りなくなるの?」

「そうそう!身体の成長が早いと魔力不足で、魔力の成長が早いと中毒みたいになるのよ」


「サキュバスも似たようなものね、私は人族とのハーフだから魔力不足だったの」

「成長期に寝込んでばっかりって辛いねえ」

「代わりに寿命が長いしトータルでは帳尻が合ってるからいいのよ」


「僕は魔族と人族のハーフだから赤ちゃんの頃から7歳くらいまで太陽が苦手だったんだよ」

「お外で遊びたい盛りじゃん!」

「日が暮れてから外で遊んでたよ。完全に昼夜逆転生活だったな」

「そっか、夜なら問題ないんだ」

「うん」


「長吉さんの子供さんが“こんこん病”っていう病気で寝込んでいたよね?」

「あれは妖狐ようこ族の子供が一度はかかる病気なんだ。命に関わるものでは無くて微熱と咳が出る病気ね」

「咳は辛いよねえ、熱で体力が落ちているのに咳で眠れないんじゃない」

「そうそう、微熱と咳って聞くと軽そうだけど本人はけっこう辛いんだ」



「ハナちゃんが病気になったらカナもおじさんも大変そうよね」

 ハナへの溺愛ぶりを心配されてしまった…。


「ハナは仮病が得意なの。ブラシを見ただけで尻尾をかばってひゃんひゃん鳴くんだから」


「尻尾はだめなのよ」

 ハナがキリッと答えると孤太郎君がうんうん肯いている。横で巽がげんなりしてて苦労がしのばれた。



 今日も楽しい飲み会だった。ヘンリクさんの料理も美味しくてお腹いっぱいいただいた。



「あのね、元気になったからコッペパンを焼いたんだ。父さんが挟むものをたくさん作ってくれてお見舞いのお礼に持っていけって」

 大きなバスケットにコッペサンドを詰めたものを渡したら喜ばれた。


 料理人のヘンリクさんに食べ物を渡すのは失礼かなと躊躇していたら積極的に受け取ってくれた。遠野から父さんの料理について聞いていて興味があったらしい。巽達が共同経営しているテリヤキにも通って異文化の食も積極的に試しているとのことだった。



 揚げ物を挟んだやつは太るから気をつけてと言ったら、カナは一言多いとクラリッサに頬っぺたを引っ張られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ