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第215話 ハナと小さいカナ

 カナに注射を打ってくれたシモンは飲み薬を処方してくれた。小児インフルエンザの薬は錠剤で1日3回2錠ずつ飲むようにとのことだった。


「今夜は魔法陣で我が家に帰ろう。客間に布団を敷いてカナとハナを寝かせて俺も同じ部屋で眠る」

 夜の間に変化があってもすぐに対応出来るように近くで休むことにしたがカナは一度も目を覚まさず朝までぐっすり眠った。



 カナは子供の頃から起こされずに自力で起きて朝の支度の出来る子供だったが翌朝は起きる気配がない。ハナはもちろん起きない。その間に押し入れからカナが子供の頃に着ていたガウンを出して召喚魔法(インターネット通販)で子供サイズの靴下を買った。ガウンと靴下を持って戻るとカナが目を覚ましていた。


「起きたか?水を飲むか?」

「うん…」

「熱はどうだ?」

「ぼうっとしてる」

「飯は食えそうか」

「食べる」

カナは病気でも食欲が落ちないタイプだ。


 リオとカナの話し声でハナが起きて不安そうにカナにくっつく。

「ハナが可愛い…」


「ハナ、2〜3日で元に戻るらしいぞ。小さいカナは今だけだ」

「…カナちゃん」

 お互いにぎゅうっとしがみつく。カナが小さいので相撲のがっぷり四つのようだ。



 カナに靴下を履かせガウンを着せてからカナとハナをテーブルに連れて行くとリザとアルバロが朝食の準備をしてくれていた。


「おはよう、具合はどう?」

「リオ様が教えてくれた“おじや”ですよ」


「ありがとう。ちょっと熱っぽいけど食欲はあるんだ、いただきます」

「ます」


カナとハナはおかわりした。



「美味しかったよ、ありがとう」

「シモンが薬を置いていってくれたから飲んで」

「うん」

 素直に薬を飲んで布団で横になるとまた眠った。



 午後、自分は大丈夫だからとハナに散歩に行くよう勧めると振り返りながら出かけて行った。


 カナのことが気になって仕方がないハナは急いでお散歩を終わらせて走って帰った。



 お散歩から戻った時、玄関からカナのお布団まで走って行きそうなハナをアルバロが後ろから抱きかかえた。

「ハナ、カナが寝ているかもしれないからそっと近づいてね。ドタドタしたら熱が上がっちゃうかも」

「わかった!」


 そろりそろり抜き足差し足でカナが眠る部屋に向かい、後ろ足で立ち上がってつかまり立ちしながら襖を開けてのぞくとカナが起きて待っていた。


「おかえり」

そっと、でも急いで近づいた。

「ただいまカナちゃん」

 カナの顔をぺろっとしてから、くっついて丸くなった。




 カナが小さくなってから、ハナとカナはずっと一緒だった。

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