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第214話 小児インフルエンザ

 楽しくお喋りして食べて飲んで…楽しいのに違和感があった。少し寒いような気もする。


「カナ、飲んでる?」

「…うん」

「カナ?」

「ここのところ、ちょっと忙しかったから疲れているのかも」

「疲れているだけならいいけど…」



── 田んぼや畑を回って養殖の仕掛けを作ってドス・グラントやモンテ・トラスにも行った。本当に忙しかったな。



「カナ!」

「ちょ!」

── なんだろ?ぼうっとしていたらクラリッサたちが焦ってる。


「カナちゃん!」

── 抱きついてきたハナがデカい。成長期かな?




「小児インフルエンザだ。僕らハイ・ヒューマンが掛かる病気」


── アルバロに抱き上げられた。アルバロもデカいけど私だってデカい。こんな子供のように抱っこされるはずが無い。


「カナ、君は病気なんだ。1週間くらいで元に戻れるけど子供になってるから」

── アルバロは何を言って…


「カナ、鏡よ」

 エステルがアイテムボックスから大きな鏡を出した。


── 鏡?


「うぇえええええっ…!」


 鏡の中に5歳くらいの自分がいた。

状況を理解できない…夢を見ているのかも。


「…ふぅ」

 思考がまとまらずアルバロの肩に頭を預けた。



「カナとハナを連れて帰るよ。僕らの代金はこれ、みんなはゆっくりしていって」

 アルバロがお金を置いてカナとハナを抱いて立ち上がる。


「私たちだけ呑気に飲んでいられないわよ!」

「みんなで送らせてよ」


 会計を遠野に任せて全員で王都の家に向かう。見送るヘンリクが度肝を抜かれている。



 代表で会計した遠野が追いついた。


「小児インフルエンザは僕らの種族特有の病気でみんなには感染しないから安心して」

「子供になっちゃうの?」

「そう。熱とか倦怠感もあるかな、3日から5日くらいで回復するよ」

「回復したら大人に戻るの?」

「うん」

「そっかー!」

「戻れるならよかった」



「ただいまー」

「おう!おかえ…」

リオが固まった。


「リオ、カナは小児インフルエンザ。僕らの種族特有の病気で3日から5日で熱が下がって大人に戻る」

 顎が外れそうだったリオだったが、クラリッサたちの視線を感じてアルバロに話を合わせることにした。

「そ、そうか。あの病気じゃ仕方ないな!お友達のみなさんもありがとう」


「良くなった頃にまたお見舞いさせてください」

「お大事にね」

「またね、カナとハナちゃん」

「お邪魔しました」


 クラリッサたちを見送ったリオがアルバロを振り返る。

「アルバロ!」

「うん大丈夫。ハイ・ヒューマン特有の病気って言ったけど神族や眷属が掛かる病気なんだ。3日から5日で熱が下がって大人に戻るよ」

「…そうか、戻れるのか」

「命に関わる病気じゃないから安心して。風邪っぽくて辛いけど」


「医者にかかれないのは心配だな…」

「大丈夫、呼ぶよ。そのあいだカナをお願い」

 カナとハナを抱き寄せたリオがカナを浄化して治癒魔法を掛けた。浄化はお風呂代わりだ。さらに召喚魔法(インターネット通販)で子供用のパジャマなどを買った。



 必要と思われるものを買ったものの大きなリオが小さなカナとハナを抱いてオロオロしている。自分が着替えさせるのは良くないと思っているようだ。


「リザ、カナを着替えさせてやってくれるか」

「任せてください」

 リザがカナとハナを抱いてカナの部屋に入った。ハナがカナから離れないので2人セットだ。


 オロオロしながらカナのために水差しやカットフルーツなどを用意してカナの部屋のドアをノックすると入っていいと許可された。


 子供用のパジャマに着替えさせてもらったカナと心配で離れないハナが寄り添ってベッドで横になっていた。


「…可愛い過ぎるだろう」

 リオが鼻を押さえながらベッド横のテーブルに水差しやカットフルーツを置いてスマホを取り出し連写した。


「カナ、入ってもいい?」

「アルバロか、いいぞ」

 アルバロがスーツでメガネのエリートサラリーマンのような男性を連れていた。


「彼はシモン。カナの治療に来てくれたんだ」

「初めまして、注射で楽になりますよ」

 シモンが手早く注射の準備をする間にリオがカナを抱き起こす。


「…はい終わりです。理性的に注射を受けてくれて助かります。たまに嫌がって暴れる神族もいるんですよ」


 シモンの目線の先には『あわわわ…』と注射に震えるハナがいた。

「クマちゃんが病気の時は私が注射してあげますからね」



 微笑んでハナを脅しながらシモンが帰って行った。

子供化する小児インフルエンザは気に入っているネタで、これまで何度も書いています。過去に小児インフルエンザをネタにしたお話リストです。



https://ncode.syosetu.com/n5698gn/?p=2

『異世界の立て直しはお任せください!』

┗第202話から第209話、第234話から第238話までが小児インフルエンザの回です



https://ncode.syosetu.com/n1004ga/

『過保護なパパはケットシー ~シングルファーザーのケットシーは愛娘を溺愛する~』

┗ 第58話から第63話までが小児インフルエンザの回です


https://ncode.syosetu.com/n4829ga/

『私が小児インフルエンザ?』

┗ 小児インフルエンザがモチーフの短篇です。


https://ncode.syosetu.com/n6313fr/

『ダモとエンマ!幼女とモフモフの、ほのぼのな毎日』

┗ 第25話と第158話が小児インフルエンザの回です。

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[気になる点] いつかハナちゃんとカレンちゃんが揃う日もくるー!?
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