第211話 王都の門番さん
田んぼや畑のお世話に養殖している海産物のお世話が加わった。
田んぼや畑はローテーションで回っていて行かない日もあるが海産物は生きているのでそうはいかない。毎日出かけてエサをやって鑑定して様子をみる。海中に沈めた檻も破壊されることなく養殖は順調だ。
「そろそろ王都にも行きたいな」
「巽君たちのお店も気になるし行くか!」
海産物のお世話があるが、毎日魔法陣で帰ることにした。どうせハナのお散歩で帰るからついでだ。
今回もドラゴン化したリザの背中に乗って王都の近くまで行って、そこから馬車で向かった。門番さんは以前も担当してくれた方々だった。
「王都へようこそ!」
ギルドカードを見せて問題無しだった。
「おうと楽しみー」
「おや、従魔ちゃんは王都が好きかい?」
「好き!」
「それは嬉しいな、滞在を楽しんでね」
「ありがと」
「もしかして…」
「はい、自分はテイマーのスキル保持者です。違法な従魔の取引や連れ去りも稀に発生するので門番にあると歓迎されるスキルなんですよ」
「なるほど!従魔の“助けて”って声が理解できたら直ぐに取り締まれますもんね」
「そうなんです」
無事に王都に入る事になり、ご機嫌なハナがペットスリングの中から身を乗り出して門番さんに手を振っている。
「まずは家に行ってゆっくりしよう」
「そうだね、今日はもう出掛けなくていいよね」
「そうだな」
底引き網漁の疲れが残っている私と父さんはゆっくりしたい。王都の家で少し休んだら魔法陣で我が家に帰って、養殖しているウニや牡蠣たちにエサをやってお散歩ダンジョンでハナにお散歩させた。
「飯もこっちで食っていこう」
「うん」
王都よりも我が家のキッチンの方が使いやすいのでご飯とお風呂はこっちで済ませることにした。
「今日はタコ飯だ。タコは初夏が旬なんだ」
タコ飯の他に和風ハンバーグやそら豆のかき揚げなどが並ぶ。
「おいしー」
「ハナちゃんはタコ飯が気に入ったか?」
「うん。お肉も豆もおいしいよ」
「そうかそうか」
リザとアルバロが元気よくハンバーグをおかわりして父さんの機嫌が良い。
「特にギルドに用事は無いよね?」
「イレーネさんのところで売却したばかりだしな!明日は巽君たちのお店を見にいこう」
忙しい時間を避けてランチタイムが終わった頃に訪問することになった。久しぶりに弧太郎君に会えるとはしゃぐハナが可愛いのでぎゅうぎゅう抱きしめてやった。




