第21話 竜人族をスカウト
チュートリアルのダンジョンで初めてスライムを倒してから1ヶ月ちょっとかけて毎日ダンジョンでチュートリアルをこなした。
ゴブリンもオークもトレントもコカトリスもトロールもアンデッドも全部クリアした。
「全部の魔物をチュートリアルでクリアしちゃったね」
「全部なの?」
これで全部なら私たち無敵かも。父さんとハナと連携すればどんな魔物が相手でも手こずることは無かった。
「2人とも一流冒険者としてやっていけるよ。どこのダンジョンでもクリア出来るし、魔境でも生きていける。ただ世界の常識が2人の今までの常識と違いすぎるから僕もパーティーの一員として一緒に行動するよ!」
「それはありがたいな!」
「そんなの当然だよ!2人にはいつまでも元気で美味しいご飯とスイーツを作ってもr ……ハナが幸せに生きるには2人の人生が順調でないとダメなんだから!」
今日も本音を隠せていないけどまあいい。1ヶ月も一緒に生活してすっかり家族だ。離れるとなったら淋しい。
「それじゃ竜人族をスカウトしに行くか!」
「そうだね」
父さんの厨二病は治ってもいないけど悪化もしていない。ブレずにドラゴンを仲間にする気満々だ。
「父さんがスカウトしたがっているのは普段は人型で移動の時や空中戦の時だけドラゴン化する竜人族だっけ?」
「それだ!カッコいいドラゴンがいい」
「イケメンだといいねえ」
父さんはこの世界に貢献しようとか考えているようだけど私の目標は婚活だ。せっかく若返ったし婚活を頑張りたい。
イケメンな竜人族に会いたい。イケメンとスローライフしたい!胸糞悪い過去は忘れてこの世界でやり直すのだ。
── 父さんが仲間にした竜人族はイケメンではなく美女だった…。
「ご主人様!」
「リザ、ご主人様はやめてくれ。リオだ」
「リオ様!」
事前の相談でこの世界に合わせた偽名を使うことにしたので父さんはリオ。私は花南子だけどカナ。ハナは私の名前から取ったため花子なのでハナだ。
人化出来るドラゴンの群れを探して魔境の奥に棲む魔物を倒しながら奥へ、奥へと進んでいたら5体のサイクロプスに囲まれて絶体絶命のドラゴンに出会い、成り行きで助けた。
そのドラゴンはリザという名前の竜人族の女性で、リザは絶体絶命の危機を救ってくれた父さんに一目惚れだったらしい。助けたメンバーに私もハナもアルバロもいたのに。
リザの怪我を光魔法で治療し、リザの暮らす集落まで送っていったら大歓迎された。リザを救ったことに加えて父さんと私はハイ・エルフや竜人族の血を引くハイ・ヒューマンという設定なので親戚のように歓迎された。
本当の祖先ではなくて設定なのが申し訳ないくらいの歓迎っぷりだった。本当のことは言えないのは申し訳ないけどリザを仲間として大切に迎えようと誓った。




