第207話 錬金ギルドのマルコスさん
「織物ダンジョンも寄っていこうか」
「せっかく来たんだしな!」
戦士のコスプレでダンジョンを攻略したい父さんがノリノリだ。
「錬金ギルドはどうする?」
「せっかくだから寄って行くか、冬の間にポーションも作ったしな」
「買ってくれるかな」
まずは錬金ギルドに寄ることにしたらギルドマスターで熊の獣人のマルコスさんが迎えてくれた。
「お久しぶりです」
「最高級ポーションのレシピには助かっている、ありがとう。今日はどんなものがあるんだ?」
「最高級ポーションと毒消しポーションと麻痺消しポーションがあります」
「レシピは教えたし、もうそんなに買い取りしていないだろう?」
錬金ギルドで最高級ポーションを安定して作る方法と材料一覧のレシピを買ってもらった。今後50年、特許料金のように使用料が毎月入ってくるのだ。
「無理!浄化スキルがレアだから!」
「そうなんですか…」
「人を集めて大量生産が無理ってだけで計画的に錬金できているから安定供給できるようになって錬金ギルドも冒険者ギルドも医療ギルドも助かっている」
「そうですか」
「ささ、出してみてくれ。どのくらいあるんだ?」
「最高級ポーションが352本、毒消しポーションが267本、麻痺消しポーションが139本あります」
裏山や出かけた先で偶然見つけた素材で作ったので、そんなに量はない。
「大量だな!大歓迎だ」
多かったらしい。
「最近新しい物を錬金していないのか?」
「冬の間は温泉につかってばかりだったし春になってからは畑なんかの世話で忙しいからな」
「冒険者じゃないのか?」
マルコスさんが父さんのムキムキ筋肉をちらちら見る。
「冒険者は趣味でたまにな!」
「秋までは我が家で畑と田んぼの世話ばっかりなの。今年は海で養殖もしたいし」
「養殖もあったな!シーフードはカナもハナちゃんも好きだから上手くいくといいな。でもその前にダンジョンに寄っていこう」
「買い取りありがとうございました!」
「またな!」
カルピオパーティーが騒がしく帰って行った。
「上級の錬金スキルをお持ちなのに農民のようですね…」
マルコスの部下のギルド職員がぼそりとつぶやいた。
「錬金一本でやってくれたら凄い物を作ってくれそうだけど楽しそうだからいいんじゃないか?」
「そうですねえ」




