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第204話 ハナとアルバロ

 ドス・グラントから我が家に帰ったら、休む間もなくプリンを作らされた。ハナが楽しみにしているから疲れていたけど頑張った。


「お仕立て上がりまで2週間ちょっとあるね」

「田んぼや畑の世話してたら、あっという間だろ」

「っていうか父さん?」

「なんだ?」

「いつ新婚旅行に行くつもり?」

父さんがハッとした。


「ちょっと!忘れてたの!?」

「い、いやあ…」

ダラダラ冷や汗をかいている。


「休暇にしようよ。ちょうど日本にいたらゴールデンウィークじゃん。田んぼとかは私とアルバロに任せてよ」

「ありがとうな」

「ゆっくりしてきて」


 翌日、父さんとリザは旅立った。帰宅は2週間後の予定だ。



「田んぼとか畑は僕がいい感じにしておくから1週間くらいなら放っておいても大丈夫だよ」

「じゃあ今日は田んぼと畑を全部回って明日からゴロゴロしよう」


 せっかくの休暇がゴロゴロか…と言わないでほしい。こっちの世界には日本では当たり前だった娯楽がないのだ。映画とかショッピングモールとかいろんな楽しみを知っている私にはちょっとストレスだ。普通なら。



「アルバロがテレビやインターネットを使えるようにしてくれて良かったよー」

 こっちに召喚された時に電子書籍で新刊を購入したり、定額制の動画配信サービスも利用できるようにしてくれたので、いくらでも引きこもれる。


「ハナはセーラーキュア⭐︎ガールを観るの?」

「うん」

 定額制の動画配信サービスでハナが観たがっていた女児向けアニメを映してやる。その横で私は電子書籍三昧だ。観たい映画や海外ドラマは普段ハナが寝てから自分の部屋で観ているから今日は読書する。日本にいた頃から読んでいた漫画の最新刊や好きな作家の新作を買って読みまくる。

 アルバロはハナと一緒にセーラーキュア⭐︎ガールを観ている。…ハナのお付き合いでは無く真剣に観ている。




「謎の怪物が現れた時はもうダメかと思ったよ〜」

「ハナも〜」

「みんなの祈りが月に届いて良かったね、世界に奇跡が起きてハッピーエンドでほっとしたよ」

「おもしろかったね!」

 アルバロとハナがプリンを食べながら興奮気味に感想を語り合っている。



 …アルバロが居てくれて良かった。ハナと同じ目線、同じ熱量でセーラーキュア⭐︎ガールを観るのも語るのも私には無理だから。

 今日の夕飯はアルバロの好きな生姜焼きにしよう。私なりの感謝だ。

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