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第200話 リザとハナ

「リザちゃん何つくってるの?」

「リオ様が作るレーションの準備ですよ」

「れーそ?」

「レーショ…ぇ…!!!!??」


「リザちゃん?どうしたの」

ハナがこてんと首を傾げる。


「ハハハハハハナちゃん!私!ハナちゃんの言葉が分かるみたいです!」


ハナの顔がぱあっと明るくなる。


「うれしー!ハナずっとリザちゃんとお話ししたかったの」

「私もですよ!」

 リザがハナを抱き上げてぎゅっと抱きしめてハナもリザを大好だいしゅきホールドする。


「どうしたんだ?」

「リザ?」


「リオ様!カナさん!アルバロさん!私、ハナちゃんとお話しできるようになりました!」


「…本当か!?」

「本当ですよ!ねえハナちゃん?」

「うん!お話しできたよ」

「お話し出来ましたよね!」


「良かったな!」

「本当だ、テイマーのスキルがある」

「ハナ、ずっとリザとお喋りしたがってたもんね。良かったねえ」

「うれしー!」

「私も嬉しいです」


「あのね。ハナ、リザちゃんの背中に乗って飛ぶの好き」

「また飛んでお出かけしましょう」

「リザちゃんが好きなバッファローのお肉はハナも好き」

「美味しいですよね」



「リザ、今日はハナのお喋りに付き合ってやってよ。父さんの手伝いは私とアルバロが入るから」

「そうだな、そうすると良い」


 ハナとリザの嬉しそうな様子はいくら見ていても見飽きないけど邪魔だろうからキッチンに戻った。



 この世界のクソまずレーションを改良したい父さんが今日は試作をすると言う。

「今日はフリーズドライに挑戦するつもりだったんだ」

「父さんがコンソメを作っている横でリザが野菜を切ってくれてたね」

「ああ、今日は野菜と俺の手作りコンソメスープでフリーズドライに挑戦だ」

「魔法を使えば難しくなさそうだよね」

「魔法ってロマンだよな!」


1. 野菜とコンソメスープを凍結させる。

2. 凍った野菜とコンソメスープを真空状態にする。

3. 乾燥させる。


 範囲魔法で通常空間と切り離して凍結させた。

範囲魔法で囲い、更にその外側をもう一つの範囲魔法で囲って二重にした。失敗する気はしなかったけど念のため。


「一瞬で凍ったね」

「次に真空か…これも簡単だな…あとは乾燥させて…出来たな」

「簡単だね…」

 呆気なく成功して面白くない。もっとこうプロジェクトXっぽさが欲しかった。


「それはリオとカナに化学の知識があるからだよ」

父さんと私がポカンだ。


「残念だけど今の僕の世界の人たちはまだ真似できないよ。凍らせることは出来ても真空を理解出来ないから。この技術をギルドに売るのは難しいかな」


「そうか、そうだな…気圧が低いほど水の沸点が低くなるって上手く説明出来ないな」

「真空って、どうやって説明したらいいんだろうね…」


 フリーズドライ製法でのレーション作りはお蔵入りになった。でもフリーズドライ魔法が楽しくなっちゃった父さんと私はいろんなものをフリーズドライにした。


「カナはフルーツをフリーズドライにしているのか?」

「うん、お菓子作りに使えるし。…父さん、まさか…」

「これか?これは俺のお手製インスタントラーメンだ」

「なにそれ!めっちゃ楽しそう」

「ふふふ。カナはナルトをフリーズドライにしてくれ」

「オッケー」

「アルバロはメンマな!」

「うん」


 お手軽に食べるためのインスタント食品をわざわざ手間暇かけて手作りする意味は無いけど楽しいからいいのだ。戻す時のために平らに慣らしてから乾燥させる必要があるという学びもあった。平らにすると持ち運びにもいいな。ラーメン以外にもいろいろフリーズドライにして楽しかった。


「いろいろ出来たね!」

「今日はこれでメシにするか」

「やった!僕、食べてみたいのたくさんあるんだ」


 お湯を沸かしたヤカンとフリーズドライ食品をテーブルに並べてハナとリザを呼ぶ。


「これは何ですか?」

「おいしい匂いするね」

「フリーズドライの試作だ。見てろよ」

 父さんがお湯をかけると、みるみる戻ってゆく。


「すっごいー!ラーメンになったー」

 ハナが両手を上下にぶんぶんさせて大興奮だ。

「こちらはキーマカレーとリゾットとクリームシチューとポテトサラダ、親子丼ですね」

リザの目が輝く。


「食べたいものを食べたいだけ取ってね」

みんなに小皿を配る。

「ハナはどれがいい?」

「ラーメン!クリームシチューも」

「はいはい」

ハナが食べたがるものをよそってやる。


「おいしー」

「美味しいですね」


「リザちゃん、ラーメンおいしーよ」

「ハナちゃんのおすすめならラーメンもいただかないと……ずずずー…美味しいです」


ハナとリザが微笑み合う。


「ハナちゃん、親子丼はいただきましたか?とっても美味しいですよ」

「ハナも食べる!」

ハナに親子丼をよそってやる。


「おいしー」

「美味しいですよね」



 フリーズドライはこの世界の技術とのバランスがとれていないからお蔵入りになりそうだけどハナもリザも嬉しそうで今日は実に良い一日だった。

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